「スーパー銭湯の台頭により一般的な銭湯の需要が奪われていると思う方もいるかもしれませんが、スーパー銭湯は非日常空間として週に1回、月に1回程度、レジャー感覚で利用してもらうことを狙ったビジネスモデル。ですから、毎日、もしくは週に何度も利用してもらうことを基本としている銭湯とは棲み分けがされています。そもそもスーパー銭湯は物価統制令による一律料金が決まっているわけではなく、自由に料金設定を変えられるという違いもありますしね」(同)
しかし、伏兵ともいえるライバルが存在するのだそうだ。
「体の汚れを落とすという目的に限っていえば、現在は同業以外にもライバルが多数存在します。代表的なところでいうとスポーツジム。トレーニングマシンを利用するための1万円前後の会費で好きなだけシャワーを浴びることができますし、大きめの施設ですと、きちんとした浴場が付いているジムもありますからね。そういったライバルに対抗できるように、デザイナーズ銭湯のようにオシャレにしたり、マンガ喫茶のような要素を取り入れたりと、その銭湯独自のサービスを考案していくことが将来につながるのではないでしょうか」(同)
それでも「銭湯はなくならない」理由
そのうえで町田氏は「銭湯がなくなることはない」と断言する。
「日本で銭湯という商売が登場したのが鎌倉時代。800年ほどの歴史があります。絶えずその時代に合わせたかたちで現代まで続いているので、なくなるようなことはないでしょう。事実、デザイナーズ銭湯のように現代の需要に合わせた新しい形態の銭湯も誕生しており、なかには最盛期と変わらないほど常連客を抱え繁盛している銭湯もあります。ですが、内風呂がほとんどの家庭に普及している現在では、このように付加価値をつけることができない銭湯は淘汰されてしまうのも現実です。460円でも足を運びたくなる、通いたくなる価値を提案できるかどうかが存続できるか否かの分かれ目となります」(同)
“銭湯戦国時代”は今後も続くということか。
「遠くない将来、おそらく銭湯の数は今よりさらに半分ぐらいにまで減ってしまうと思います。デザイナーズ銭湯などの勝ち組が現れたことで、勝ち・負けが鮮明になってきていますからね。けれど、淘汰され切った後に残るのはオリジナリティーある付加価値をきちんと持った銭湯ですから、その後も地域住民に愛され、商売としてもきちんと成立させていくはずです」(同)