ペーパーが補充されないまま
では、セブン&アイ・ホールディングス傘下のデニーズはどうだろうか。個室に入ってまず目に飛び込んできたのは、床に転がったトイレットペーパーの芯。それだけなら、直前の客が落としたのかもしれないと思えただろう。しかし、2ロールセットできるペーパーホルダーはどちらも空で、予備も見当たらない。つまり、長時間の間、店員が補充に来ていない、清掃されていないと推察された。
しかたなく女子トイレを出て、男女兼用トイレに入り直したところ、こちらにはペーパーが残っていたので助かった。前述の2店にはなかった便座クリーナーが備え付けられ、さらにオムツ台とベビーチェア、手すりが設置されているのは素晴らしかったのに、そもそもペーパーがなければ用を足すことができない。また、手洗い台は綺麗に磨かれていたが、やはり除菌アルコールはなかった。
続いては、低価格でイタリアンが楽しめるサイゼリヤ。個室の壁に便座クリーナーのディスペンサーが設置され、もちろんペーパーもあるので安心してトイレを使用できた。ただ、手洗い台をよく見ると縁のあたりに水垢の黒ずみが。さらにこちらもハンドソープのみで、除菌用アルコールは用意されていなかった。
今度は、豊富なハンバーグメニューが特徴のココスへ。同店の個室内は他と比べると少々狭く感じたが、便座クリーナーで清潔に使用することができ、オムツ台もバッチリだ。そしてついに、手洗い台のハンドソープ横に除菌用アルコールを発見。安心して食事を楽しむことができた。
最後に、「宮廷のもてなし役」の意味を持つロイヤルホストのトイレ。個室にはオムツ台が設置され、便座クリーナーも完備。また、こちらにも除菌アルコールが置かれていて、店名から期待していた通りの気配りを感じた。それゆえに、予備のトイレットペーパーの置き方が雑だったのが残念なところ。客が誤って落としそうな場所に適当に積み重ねられたロールのうち、ひとつは端がペロンと垂れていて、なんともだらしなかった。宮廷のもてなしを謳うならば、細部まで差をつけてほしいものだ。
今回の調査では、各店とも「ファミリーレストラン」を掲げるだけに、ファーストフードチェーンのトイレよりもオムツ台や手すりなどを備えている店が多かったのが印象的だ。今後も常に改善されていくことを期待しつつ、現状でも最低限の清掃、衛生管理は徹底してもらいたい。
(文=編集部)