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米山秀隆「不動産の真実」

激増する空き家、「税金で撤去」問題が深刻化…あらかじめ固定資産税に上乗せも検討要

文=米山秀隆/富士通総研主席研究員
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 すべての特定空家を公費で撤去することは不可能であるため、この問題は最終的には、人口減少下で今後も居住地として存続させるエリアについて、居住環境を維持するために、所有者による自主的対応が期待できない特定空家を、どれだけ公費を投入して撤去していくかという問題に発展していく可能性が高い。それにしても税負担は増すばかりである。

撤去費用の事前徴収も

 空き家の撤去費用は、本来は所有者が負担すべきである。しかし現状では、撤去費の補助や、費用回収を見込みにくい代執行でも実施せざるを得ないというかたちで、公費投入がなされている。これは所有者が負担すべきものを、納税者全員で負担していることになり公平性を欠く。

 今後については、必ず所有者が負担することになるよう、たとえば毎年の固定資産税に、撤去費に充てる分を少しずつ上乗せして徴収していく仕組みも考えられよう。固定資産税が徴収されている限り、最終的に相続放棄されたり所有者がわからなくなったりしたとしても、撤去費用の心配はなくなる。自ら撤去する場合は、積み立てた撤去費が還付される仕組みにすればよい。今後の検討が望まれる。
(文=米山秀隆/富士通総研主席研究員)

米山秀隆/住宅・土地アナリスト

米山秀隆/住宅・土地アナリスト

1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。1989年同大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研等の研究員を歴任。2016~2017年総務省統計局「住宅・土地統計調査に関する研究会」メンバー。専門は住宅・土地政策、日本経済。主な著書に、『世界の空き家対策』(編著、学芸出版社、2018年)、『捨てられる土地と家』(ウェッジ、2018年)、『縮小まちづくり』(時事通信社、2018年)、『空き家対策の実務』(共編著、有斐閣、2016年)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社、2015年)、『空き家急増の真実』(日本経済新聞出版社、2012年)など。
米山秀隆オフィシャルサイト

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