料理レシピ情報サイトが大当たりして、ネットベンチャーの勝ち組ともてはやされていた当時、クックパッドの株価は2880円(15年8月17日)と上場以来の最高値をつけた。ところが、お家騒動が祟り株価は3分の1以下に下落したことになる。
持株を売却した穐田氏の議決権比率は14.73%から2.40%に急低下。主要株主でなくなる。保有株をすべて売却して辞任するのではないかと見られている。
売却した株のうち9.33%分をクレディ・スイス証券が、3%分は凸版印刷が取得した。凸版印刷は、電子チラシの配信サービスでGunosyやカカクコムと連携している。クックパッドにも連携を働きかけるとみられる。
株価は底値圏のままだったが、さらに9月27日には前日比28円安の969円まで売られた。子会社の売却が明らかになったことで、成長性に対する不透明感が増し、失望売りにつながったようだ。
医家向け情報サイトを運営するメドピアが9月26日、クックパッド傘下のクックパッドダイエットラボ(CPD)を2億円で買収すると発表したことが影響を与えた。CPDは「正しく食べて痩せる」ダイエットを栄養管理士が指導していた。
クックパッドは佐野氏の意向で、料理関連事業への集中を目指しており、CPDの売却はその一環とみられる。
お家騒動の大激震に見舞われたクックパッドだが、16年12月期第2四半期累計(1~6月)の連結決算の売上高は、前年同期比44%増の89億円、営業利益は58%増の41億円、純利益は25%増の22億円だった。ただ、4~6月期については成長の鈍化が目立ち、アナリストの投資評価の引き下げが相次いでいる。
業態は有料会員事業と広告事業の2本立て。1~6月の会員数は185万人で前年同期より12%増えた。
しかし、現経営陣と現場の社員との亀裂は深まったままだ。新体制に反発した幹部社員が次々と退職しているという。クックパッドの混乱は収まる気配がない。株式市場も佐野氏の経営手腕には懐疑的だ。今後は9月21日につけた942円を下回るかどうかが焦点となる。
市場関係者はこう指摘する。