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【サイゾーPremium 特別企画「今こそ“食”を考える」】

“食のビッグデータ”が導き出すーーコロナ禍の“テイクアウト商法”で見えた飲食店の未来

取材・文/編集部

食のビッグデータが導き出すーーコロナ禍のテイクアウト商法で見えた飲食店の未来の画像1

 自粛期間中の致し方ない赤字を取り戻すべく、ようやく飲食店にも活気が戻りつつあるが、それでもまだ予断を許さない現在。各店舗は通常営業に加え、現在でも営業時間外のテイクアウトなどに力を注いでいる。一方で、マクドナルドのように「客数は減ったが客単価の大幅アップで売り上げを伸ばした」飲食業も少なからず存在したのは周知の通り。では、飲食店が休業せざるを得なかった期間において、日本の飲食業にはどのような変化が起きたのか? 「より善いごはんとの出会いをつくる」をミッションに掲げ、料理を1品単位から検索することのできるグルメコミュニティ・アプリ「SARAH」を運営する、株式会社SARAHの代表取締役・高橋洋太氏に話を聞いた。

――緊急事態宣言以降、SARAHのユーザーがアップする食の投稿に大きな変化はありましたか?

高橋洋太(以下、高橋) まず、投稿数が増えてはいませんが、劇的に減ったということもありませんでした。実は、新型コロナウイルスの影響が出る前からアプリではテイクアウト・メニューを強化していたこともあって、テイクアウトに加え、デリバリーの投稿は増えたんですね。もともとSARAHは1品単位で料理を検索するアプリなので、宴会や大人数での需要には合わず、ある意味、自粛期間中における個人や少人数での食事との相性がよかったことが長所ともなりました。

――アプリ内では「コロナに勝とう!」や「#おうちで食べよう」「テイクアウトを食べて飲食店を応援しよう」などのキャンペーンも盛んでしたが、実際に自粛せざるを得ない期間中、どのようなテイクアウトが目立ったのでしょうか?

高橋 実際に食べた料理をユーザーが投稿する際、ほとんどがタグ付けするので、それを基に集計したところ、上位はカレー、から揚げ、サンドイッチ、ハンバーグなどが並び、次点では意外なところでラーメンや焼肉、お寿司など、これまで飲食店が力を入れてこなかったジャンルのごはんが目立ちました。傾向としては「家で作りにくいもの」という前提があり、例えばカレーでもレトルトやルーで作るカレーではなく、スパイスなどを用いて作る本格的なカレー。また、今まで「行きづらかった/入りにくかった高級店」のテイクアウトも人気を集めたと思います。

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飲食店が休業中に力を入れていたテイクアウト商品では、カレーがダントツの人気メニュー。普段は入りづらい雰囲気の店舗でも、テイクアウトだと購入しやすい長所が功を奏した。

――確かに、いかにも「いちげんさんお断り」的な佇まいの店舗が販売する安価なテイクアウト商品はニーズが高そうですし、女性的な内装の店が店外で販売するスイーツなどであれば、男性でも気軽に購入できますしね。

高橋 そうした(ユーザーの)投稿は飛躍的に増えました。テイクアウトという方法が、行きづらさ・入りづらさのハードルを下げたんでしょうね。また、ラーメンが上位にあったことも、「ラーメンには店独自の文化があって、(二郎系の)マシマシのコールの恐怖感や、完食できるかわからない」という不安を払拭できたからだと思うんです。まずはテイクアウトでチャレンジする。実際に食べるのは自宅になるので、誰にも見られないし、残しても構わない。そういった意味からも、実は自粛期間中のテイクアウトというのは、「自粛が終わったら実際に店内で食べてみよう」と消費者がその店のリピーターになるための施策のひとつになっていたと言えます。

――コロナ禍が生みだした新しい価値観というわけですね。

高橋 飲食店の「新規のお客さんが欲しい」という思いはもちろんなんですが、経営の本質は新規客獲得ではなく、リピーターの確保と、生涯の客単価ですからね。

――全国的に飲食店にも活気が戻りつつありますが、SARAHを利用するユーザーの投稿に、コロナ前後で変化は見受けられましたか?

高橋 外食はしたいけど、宴会やパーティはまだ控えたいという時期だと思うんですね。そういった餃子やお好み焼きといったシェア料理の投稿が減り、個人で楽しめるカレーやお蕎麦のような投稿が増えたように思います。また、コロナ以降は飲食店の紙のメニュー表を触りたくないという方も増えたと思いますので、5月末に飲食店向けに電子メニュー化サービスを提案する「Smart Menu」をローンチしました。これは飲食店がアップする写真も、ユーザーが投稿する写真もメニュー画像となるわけですが、後者のほうがよりリアルなシズル感が伝わるかと思います。このサービスは、今後飲食店が顧客の単価アップやリピート率向上につなげてもらえる機能を搭載する予定です。

 このコロナ禍において、飲食店の価値観に大きな変化が現れたのは間違いなく、弊社としても今後のEat Techの構想を具現化していきたいと考えています。

(取材・文=編集部)

[SARAHとは?]

「食のデータ」によって実現する「Eat Techカンパニー」。“Eat Tech”とは、食べる行為を豊かに、そして便利にしていくテクノロジーを指す造語。食べたいごはんを1品単位から検索でき、ユーザー自らも口コミ投稿ができるPC/モバイルアプリ「SARAH」の事業をメインに、企業向け外食ビッグデータ分析サービス「Food Data Bank」の運営も行う。

https://corporate.sarah30.com/

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※これはサイゾーpremiumにて6月27日に掲載された記事の無料公開版です。

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