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山崎豊子の再来か?大新聞が絶対に書評できないタブー小説『トヨトミの野望』

トヨタ、幹部の呆れた恥部や社内クーデターがモデル…大ベストセラー本が波紋

文=編集部
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 小説中には、「小糸・ピケンズ事件」や日米自動車交渉の舞台裏なども出てくる。ここ30年ほどの自動車産業史も背景として描かれている。

 ここまで事実をベースに書くのであれば、ノンフィクションで実名をさらして書くべきとの意見も当然あるだろう。しかし、トヨタは巨大な広告スポンサーであり、産業界での存在感も大きい。トヨタに気に入られようと、メディアに圧力をかける広告代理店、忖度する大新聞などもある。そうした事情を鑑みれば、小説という手段でしか「事実」を伝えられなかったのではないか。

 最後に気になるのはペンネームである梶山三郎だ。著名な経済小説家・城山三郎氏を意識したのか、と講談社の関係者に聞くと、次のような回答だった。

「かつて週刊誌のトップ屋出身で多くの大衆娯楽小説を世に生み出した梶山季之さんという作家がいました。自動車業界の産業スパイを小説化した『黒の試走車』が代表作です。城山三郎さんは歴史観ある小説や経営者の評伝的ノンフィクションを得意とされました。この偉大なるご両人にあやかりたいとの思いから付けたペンネームです」
 
「裏面史」を含めて、トヨタという企業を知るためには最良の一冊である。
(文=編集部)

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