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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

中国、「世界の工場」の終わりの始まりの兆候…日本企業、中国生産「撤退」局面突入か

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

電機業界における16年の中国投資縮小の動き

 クリアリーフ総研が16年に掲載した、電機・エレクトロニクス業界各社の中国市場における投資縮小の動きなどを報じた記事タイトルは以下のとおり(日付は掲載日/詳細は同社サイト参照)。

・UACJ エアコン用銅管広州子会社解散へ(11月4日)
・セガサミーホールディングス ジョイポリスを香港企業に売却(11月2日)
・SJI 中国取引先債権を貸倒償却(10月26日)
・川重冷熱工業 中国空調機器合弁を解消(10月25日)
・東京コスモス電機  広州新工場に番禺工場統合(10月19日)
・双葉電子工業 天津の連結子会社を閉鎖、解散(9月26日)
・日立金属 圧延ロールの中国生産打ち切り(9月1日)
・クレスコ 中国市場縮小で上海子会社閉鎖(8月30日)
・永大化工 中国市場参入を取り止め(8月23日)
・日本ケミコン 海外再編の一環で中国体制も(8月19日)
・日本研紙 中国昆山の子会社を清算(8月3日)
・デクセリアルズ 蘇州の2工場を統廃合(8月2日)
・東海カーボン 天津生産拠点を縮小(6月24日)
・ラオックス  中国店舗をすべて閉鎖へ(4月1日)
・CIJ  上海開発子会社を解散(3月29日)
東芝  美的集団に白物家電売却(3月18日)
・JMACS  上海の合弁電線販社を解散(3月1日)
・東芝  中国一般照明事業売却。再編の一環(2月29日)
・神戸製鋼所 中国景気減速で特損。赤字転落(2月5日)
・ジーエス・ユアサコーポレーション 天津工場閉鎖。爆発事故影響(2月3日)
・日立金属  上海のコイル用巻き線子会社売却(1月27日)
・中国GDP  2015年は6.9%増。25年ぶり低水準(1月20日)
・レカム  大連子会社3社を合併(1月7日)

 実際には投資の動きもあるが、中国への投資が縮小していることは間違いない。

 中国からの投資撤退の動きについては、現地の賃金上昇など投資メリットが薄れたことが大きい。それは中国の経済成長による必然だが、日系企業などの中国投資が中国経済を潤沢にした側面は間違いなくあり、そのメリットが薄れて「中国生産撤退」の動きが本格化すると、今度は中国経済の失速につながる遠因となることも否定できない。

 日本でバブルが崩壊、以後経済成長が失われたことと同じ歴史が中国で起こるリスクは大きい。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

業界紙記者を経て2004年に電機業界の情報配信会社、クリアリーフ総研を創業。
雑誌などへの連載も。著書に『エレクトロニクス業界の動向とカラクリがよ~く
わかる本』(秀和システム)、『東芝』(出版文化社、共著)ほか
クリアリーフ総研

Twitter:@clearleafsoken

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