消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
「ニトリやユニクロといった低価格を売りにしたショップが高級路線の百貨店に出店するようになった最大の理由は、なんといっても百貨店のマーチャンダイジング(MD)力が低下し、さらにそれを放置してきたからです。百貨店が小売業の主役だった1980年代までは、商品をどう陳列してどう宣伝するか、消費者にどう訴求していくか、といった戦略を百貨店側が綿密に練っていました。
そうしたMDによって、消費者は百貨店での買い物に刺激を受け、百貨店で買い物することに喜びを見いだしていたのです。しかし、出店テナントのリスクのない委託販売に依存したことなどにより、自社売場のMD力が落ちたことで百貨店の魅力は失われ、その後も効果的な方策を打つことを怠りました。
そして、売り上げを回復させようとするあまり、百貨店は世間で人気がある店を入居させるようになったのです。その結果、百貨店はもはや“都心にあるショッピングモール”という存在になりつつあります」(渡辺氏)
都心の百貨店の場合、その立地ゆえに売り場面積はどうしても小さくなる。当然、郊外の広いショッピングモールに品揃えでは勝つことはできない。しかし、ニトリやユニクロなど郊外のショッピングモールと代わり映えしないフロア構成でありながら、品揃えは悪いとなれば、今後も百貨店の売り上げが低下するのは明らかだ。
一方、ニトリやユニクロといった異端者が賃料の高い百貨店に出店するメリットはあるのだろうか?
「特に20代女性に顕著ですが、東京や大阪などの大都市では自動車を保有しないライフスタイルも浸透しています。そうした若者にとって、ニトリのような郊外店を中心に展開してきたショップは、まだなじみが薄い。ニトリは、そうした層を取り込むために都心の百貨店に出店しているのです。
いわば、都心の店舗はショールーム。近年、買い物はネット通販による売り上げが拡大していますが、それでも消費者は『実際に見て、触れる』という行為を大切にします。消費者が直接触れられる機会をつくる、それが都心の百貨店に進出する狙いでしょう」(同)
今後の百貨店は旗艦店以外つぶれる?
そうなると、ニトリやユニクロのような異端者が百貨店に出店する現象は、今後も続くのだろうか?
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