アマゾンが実現してしまったSFみたいな無人コンビニ、もはやメーカーを凌駕
12月6日、アマゾンがコンビニエンスストア事業に参入すると発表した。このニュースを表面的に見ると、ネット通販からリアル店舗への拡大かと思うが、その内容は実に驚きだ。単なるコンビニではない。まさに未来を切り開くイノベーションなのだ。
最新技術を駆使して無人店舗を実現
アマゾンが提供しようとしているコンビニは無人の店舗だ。店内にはレジもスタッフも存在しない。レジがないのだから顧客はレジで待たされることもない。サクサクと買い物ができる。商品棚から購入したい商品を取ったら、そのままレジで精算することなく持ち帰ることができる。では支払いはどうするのか。そもそも誰が何をどのくらい購入したか、アマゾンはどのように把握するのか。
店舗にはセンサやカメラが設置されていて、客がどの商品を手に取ったり、棚に戻したりしたかを自動認識するという。顧客が買い物を終えて店から出ると自動精算が行われる。支払いは顧客が普段アマゾンの通販サイトで使用しているカードから自動で引き落とされる。顧客にはメールでレシートが届くという仕組みだ。
アマゾンのサイトに行くと、「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」と呼ぶこれまでにない新店舗で買い物体験する様子が、具体的に動画で紹介されている。それはまるでSF映画を見ているようだ。
動画を見てほしいが、顧客はあらかじめアマゾン・ゴーのアプリをスマートフォン(スマホ)に入れておく。店の入り口は駅の改札口に似ている。顧客はSuicaをかざすようにスマホを“改札機”にかざして入店する。あとは自由に商品を棚からとって、そのまま店を出ていくだけだ。レジで待たされてイライラすることもないし、店側もレジのスタッフを雇う必要もないから気が楽だ。
実現は遠いと思っていたが
筆者は実はある知人から、アマゾン・ゴーとまったく同じコンセプトを、アマゾンが発表する5日前に聞いていた。彼が独自に考えたものだ。正直に告白すると、そのコンセプトの説明を聞きながら、まだ技術を磨く必要があるため、実現までにはかなり時間がかかりそうだと思っていた。おそらく、コンセプトを考案した本人も同じ思いであったろう。
ところが、それからわずか5日後に、そこで語られたコンセプトをアマゾンが発表したのだから驚きだ。コンセプトを創造した本人は「12月6日という日を一生忘れません」と語ってくれた。さぞかしがっくりきたことだろう。しかし、コンセプトが実現されたのだから、コンセプトそのものは決して間違っていなかったと思う。むしろ筋がよかったといえる。