フリースクールなど学校以外の場で学ぶ不登校の子どもの支援を目的にした「教育機会確保法」が12月7日の参院本会議で可決、成立した。不登校の子の教育機会の確保のため、国や自治体が必要な財政支援に努めることなどが明記されている。
安倍晋三政権は、保育所への「待機児童ゼロ」を目指すなど、少子化対策の柱として子育て支援政策を積極的に推進している。ところがここに、子どもの社会と家庭を結びつける重要な役割を果たしながらも、政府の対策から取り残され、忘れ去られた存在がある。
それは、「放課後児童クラブ」(いわゆる学童保育)だ。そこで、放課後児童クラブの実態を国立国会図書館が10月にまとめた「放課後児童健全育成事業の展開と課題」から見てみたい。
放課後児童クラブの実態
放課後児童クラブは、2015年度(5月調査)時点で、全国の1603 市町村(全体の約92%)に2万2608カ所(実施小学校区数では1万6496小学校区で全体の約82%)に設置されている。クラブに登録している児童の数102万4635人と100万人を超えている。
実は、放課後児童クラブには、保育所と同様に待機児童問題が発生している。クラブへの登録待ち組(いわゆる待機児童)が1万6941人もいる。これは、制度改正により4年生以上の子どももクラブを利用できるようになったため、前年度よりも約7000人も待機児童が増加したことによるもの。小学4年生から6年生の待機児童が4180人増加したのに対して、小学1年生から3年生は2886人の増加にとどまっている。特に、小学4年生の増加が顕著だ。
待機児童は多くが都市部に集中しており、15年度では関東1都6県が全国の待機児童数の44.4%を占めており、東京都は18.5%と高い比率になっている。保育園問題と同様に、共働き家庭で両親が帰宅するまでの間、小学校低学年を安全・安心して預けられる施設として放課後児童クラブは重要な役割を担っているといえる。学年別に見ると小学1年生から3年生までが全体の人数の約85%を占めている。