長年にわたってデジタル衛星放送「スカパー!」の視聴者を楽しませてきたサッカー・Jリーグの中継だが、2017年からは見ることができなくなるようだ。Jリーグとの放映権契約を他社に奪われたのだ。
スカパー!に代わって10年間の放送権契約を結んだのは、イギリスの動画配信企業であるパフォームグループだ。日本では月額1750円で「DAZN(ダ・ゾーン)」という有料動画配信サービスを提供している。
パフォームがJリーグと合意した10年契約の放映権総額は、約2100億円だったという。スカパー!も当然応札したのだが、スカパー!が想定した入札価格は一桁低かったという。そこでスカパー!はパフォームからJリーグ中継の権利をサブリースする交渉も行ったが、それも合意には至らず、結局、来季のJリーグ中継から撤退することを発表したのである。
さて、スカパー!からJリーグが消える影響は、どこにどう出るのだろうか? 順番に状況を整理していきたい。
加入者減少
当然ながらJリーグ中継ができなくなる最初の影響は、スカパー!加入者減少というかたちで表れるだろう。
スカパー!加入者は2012年に383万件があったところから減少傾向を続け、現在では330万件台にまで落ち込みつつある。その最大の理由は、インターネット動画配信サービスの台頭にある。当初は無料動画配信サイト「YouTube」にユーザーが流れたというのがまず最初に起きたことで、ここまでは地上波と変わらない普通の社会現象の一部だった。
ところがここにきて、さらにスカパー!の土台を脅かす競合が登場する。それが月額定額制の有料動画配信サービスの登場だ。Huluやアメリカから上陸したNetflixといった豊富な番組コンテンツを持つ動画配信サービスが、月額1000円前後でのサービス提供を開始したのである。
これらの有料動画配信サービスは、映画を見たいとか、アメリカのドラマを見たいとか、音楽アーティストのライブを見たいといったスカパー!と同じニーズを満たすことができる。ちょうど消費者はテレビのような大画面ではなくスマートフォン(スマホ)で動画を見るのが日常的になってきたこともあって、画面が小さいことは問題ではなくなった。
もっとも最近のテレビは、インターネットにつなげばスカパー!同様にこれら動画配信サービスも大画面で見ることができるのだが、視聴者の多くはリビングではなくスマホでこれらの動画配信を楽しんでいるらしい。