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プーチン=トランプ=ルペンの新枢軸国が形成されるのか
トランプリスクは政治にも存在し、それが世界経済に跳ね返ってくるリスクがあります。トランプ氏はロシアとの関係改善に務めると表明しており、まるで冷戦時代に逆戻りして、核大国による世界秩序の再構築を目指しているかのようです。
さらに、ヨーロッパでドミノ式にトランプショックが発生する可能性があります。トランプと歩調を合わせるような極右勢力が台頭してきており、EU離脱ドミノがどれだけ現実味があるかが、これからの世界経済の境目になります。トランプ氏のツイッター政治に呼応して、仏極右のルペン氏は自動車会社の国内回帰を奨励すると言い出しています。EUの極右には経済政策がなく、トランプがそのモデルを提供するかもしれません。プーチン=トランプ=ルペンの新枢軸国が形成されないように願うしかありません。
再び日本に戻れば、2020年の東京五輪前に都心商業地の不動産バブルがはじけ、しかもそれが世界的な経済危機と重なる可能性があります。日本では地方経済は疲弊しアベノミクスですべての経済政策を使い果たしているので、ナショナリズムで対処するしかない。例えば、五輪の成功と安全なる開催を金科玉条にして、IS、テロリズム対策で共謀罪を成立させようとか、憲法に緊急事態条項を盛り込もう、といった動きに出る。経済危機の実態を隠し、五輪ナショナリズム的な方向に国民意識を持っていこうとする可能性があります。
何より底堅い内需をつくるために、エネルギー、農業、福祉など地域に根ざした産業と雇用を創出する、地域分散ネットワーク型システムへの転換を急がなければなりません。
(文=松井克明、協力=金子勝/慶應義塾大学教授)
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