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一般に観光地においては、多くの人が押し寄せるオンシーズンと閑散期のオフシーズンがある。高山の場合、春(4月)と秋(10月)の高山祭には、それぞれ2日間で20万人が押し寄せている。また、大型連休のある5月や8月は日本人観光客が増加する。一方、12~3月は雪が多く、観光客が減少する時期である。日本人観光客のみを対象とすると冬場のオフシーズンの問題を解消する策は見いだしにくい。
しかし、外国人観光客に目を向けると、シンガポールやマレーシアでは12月に長期の休暇、また南半球のオーストラリアでは1月に夏休みが設定される場合が多い。また、こうした外国人観光客にとって雪という存在は、目新しい貴重な観光資源となる場合がある。実際、冬のオフシーズンには多くの外国人観光客が高山を訪れている。そのほか、中国における2月の春節、イスラエルの4月の長期休暇、欧米での7~8月の長期休暇など、日本人観光客だけでは大きくなるオン・オフのシーズンの差が、外国人観光客により大幅に是正され、地域経済に大きな恩恵をもたらしている。
海外からも人気の観光地:高山を支える組織・戦略・DNA
確かに、高山には豊富な観光資源に恵まれているというメリットはあるものの、現地までのアクセスなど不利な面も存在している。こうしたデメリットを克服し、現在のように多様な地域から外国人観光客が押し寄せるようになった要因を解明すべく、現地調査を行った。
調査に際し、高山市役所にインタビューのアポ取りのための電話をした。筆者は多くの地方自治体にある観光振興部のような部署に電話を回されると思っていたが、市役所の交換の方の「それではブランド・海外戦略部にお回しします」との言葉に大変驚いた。何か外資系企業にでも間違って電話してしまったような錯覚に陥ってしまった。
ブランド・海外戦略部は、現市長である國島芳明氏主導のもと、高山や飛騨をブランドとして捉え、海外からの観光客の誘致や高山産の農畜産品、木工製品、医薬品、精密機器などの輸出に戦略的に取り組むことを目的に立ち上げられた部署であった。
この部の仕事ぶりは、行政というよりも民間企業に近い。もしくは、それ以上のようにも感じられた。
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