スタバより顧客満足度高いドトールより約2倍も高額でも客殺到…極上の時間味わえるカフェ
日本のカフェを「経営」や「生活文化」の視点で分析する筆者のもとに、先月「顧客満足度でドトールコーヒーがスターバックスコーヒーを上回った。なぜだと思うか?」というメディアからの問い合わせがあった。
問い合わせには、(1)気軽に行ける、(2)価格の安さ、(3)女性向けメニューの充実――などを答えたが、その翌週に大分県・由布院温泉に行き、当地の人気カフェも視察した。現地で考えたのが、「スタバやドトールのような日常生活で利用するカフェと、観光地(非日常)で利用するカフェでは、消費者意識にどんな違いがあるか」だった。今回は、その結果も含めて観光地のカフェの役割を分析してみたい。
由布院らしさも訴求する「天井棧敷」
訪問前にインターネットで「由布院、人気カフェ」と検索したところ、亀の井別荘の「茶房・天井棧敷」(以下、天井棧敷)、由布院玉の湯の「ティールーム・ニコル」(以下、ニコル)、山荘無量塔(むらた)の「タンズ・バー」、同「ティールーム・テテオ」など、御三家と呼ばれる旅館のカフェを中心に店名が出てきた。飲食店を評価する口コミサイトでも、最初の2店が人気カフェの1位と2位だった。そこで、この両店の特徴を紹介しよう。
天井棧敷は由布院の観光名所である金鱗湖の近くにある。懐かしさを感じる建物の1階は土産物店で、2階がカフェだ。カフェの営業は18時までで、19時からは「バー山猫」に変わる。今の時季は寒いが、春や秋の心地よい日中には1階と2階の間に位置するテラス席も人気だ。
「当店はコーヒーの専門店です。一番人気の『天井棧敷ブレンド珈琲』(583円/税込、以下同)は欧州風の深煎りコーヒーで、コロンビアのティピカ種をベースに、イエメン、ブラジルの3種を配合したブレンドをハンドドリップで淹れています。軽食やスイーツもコーヒーに合うメニューを揃えています」(店長の秋吉和也氏)
人気スイーツは、由布岳をイメージした「モン・ユフ」(518円)だ。クリームチーズをベースにした味で、コーヒーと一緒に口にすると違う味わいも楽しめる。亀の井別荘3代目主人の中谷健太郎氏が、欧州視察時にパリのカフェで「La Neige a la Fontainebleau」(フォンテンブロー山の雪)というチーズケーキに出合い、味に感動した。それを再現したという。昨年には「アンジェリカ」(378円)というシュー生地のスイーツも開発した。