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「ほぼ日」上場、糸井重里保有の株式時価総額は38億円…「ほぼ日手帳」依存経営の危うさ

文=編集部
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「ほぼ日」上場、糸井重里保有の株式時価総額は38億円…「ほぼ日手帳」依存経営の危うさの画像1糸井重里氏(Haruyoshi Yamaguchi/アフロ)

 コピーライターの糸井重里氏が社長を務める「ほぼ日」は3月17日、上場2日目で公開価格2350円の2.28倍の5360円で初値を付けた。高値は5480円、安値は4780円。終値は5020円だった。終値で算出した時価総額は112億円となった。750社あるジャスダック上場銘柄のなかで、時価総額では150位前後となる。

「ほぼ日」は16日、東京証券取引所のジャスダック市場に上場したが、大量の買い注文が集まり売買が成立しなかった。東証は買い付け代金の即日徴収などの規制措置を実施。2日目にやっと売買が成立した。売買代金は35億円とジャスダック上場銘柄で第2位だ。

 糸井氏の高い知名度に加えて、公開価格2350円ベースのPER(株価収益率)が10倍台と、割安感からも注目された。上場に備えて16年12月22日付で1株を100株に分割したことから株価が相対的に下がり、個人投資家が買いやすくなった側面もある。

 糸井氏が株主優待や株主総会についてユニークな構想を練っていることを各方面で語っていたことから、前人気が高まっていた。糸井氏は会社や社会のあり方について時間をかけて話し合うため「泊まり込みの株主総会をやってみたい」と発言した。

 株主との新しい付き合い方を提案しているわけだが、株式を公開すれば、利益至上主義の“こわもて”の株主も登場してくる。ユートピアのようなことはいっていられなくなるはずだ。

 筆頭株主は創業者の糸井重里氏で発行済み株式の35.78%を保有。2位は糸井氏の娘の池田あんだ氏の23.86%、3位は社外取締役で遊技機の企画開発会社フィールズ(東証1部上場)会長の山本英俊氏で19.97%、4位がほぼ日従業員持ち株会の13.82%となっている。

 糸井氏は1981年に一般女性と結婚し、同年に娘が生まれたが、翌82年に女優の樋口可南子との不倫が発覚。その後10年間、不倫関係を続け、ようやく前妻との離婚が成立。93年に樋口と正式に結婚(再婚)した。樋口可南子は大株主名簿には登場していない。

 初値で計算すると、糸井氏が保有する株式の時価総額は38億円。IPOで2ケタの億万長者の仲間入りを果した。従業員持株会も15億円となり、“千万長者”の従業員が誕生する。新規上場さまさまである。

●実態は「ほぼ日手帳」の単品商売

 糸井氏は48年11月10日、群馬県前橋市に生まれた。法政大学文学部時代、学生運動に身を投じ退学した。糸井氏は、「吉本隆明氏に影響を受けている」と語っている。吉本氏は、糸井氏が学生運動をやっていた当時の新左翼のカリスマ的存在であり、その後、80年代の消費社会を肯定的に評価した点も、二人は共通している。

 71年にコピーライターとしてデビュー。79年、有限会社東京糸井重里事務所を開設。西武百貨店の「不思議、大好き」(82年)、「おいしい生活」(83年)などのキャッチコピーで脚光を浴びた。

 98年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を創刊。2001年10月、サイトの読者の声をもとに開発した「ほぼ日手帳」は年間61万部を発行する大ヒット商品となった。02年10月に株式会社に組織変更。16年12月に、上場に備えてほぼ日に社名を変更した。

 新規上場に伴い、17年8月期の決算(単体)予想を明らかにした。売上高は前期比1.3%増の38億1700万円、営業利益は0.2%増の5億円、純利益は7.8%増の3億2900万円の見込み。1株当たり配当金は45円を予定している。

 企画運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」は、広告を掲載していないので収入はゼロ。サイトの読者の声をもとに文具やバッグ、調味料などの生活用品を企画し、それらをサイト内のインターネット通信販売で直接個人に販売し、収益を得るビジネスモデルだ。

 ほぼ日手帳が全社売上高の7割を占める。同社が東証に提出した「新規上場申請のための有価証券報告書」の「事業等のリスク」には、「特定商品への依存度に関するリスク」として、ほぼ日手帳への依存度の高さに言及している。

 オリジナル手帳の企画販売という単品商売が実態の会社だ。それなのに買いが殺到し、初値は公開価格の2.28倍の5360円を付けた。8月期予想PERは34.5倍だが、株価の急騰で割安感はまったくなくなった。オリジナル手帳の企画販売というビジネス一本で株式を公開した企業として、この高PERは説明がつかない。

 東証で3月16日に開催された記者会見で糸井氏は(株式上場で)「自分たちの力が発揮できる最高の場所ができた」と述べたが、「ほぼ日は上場時点が上場来の高値で、あとは株価がズルズル下落する“上場ゴール”の銘柄になりそうだ」と辛口の指摘をする新興市場のアナリストもいる。初値形成後、過熱感から売りが先行したことが、市場関係者の警戒心理を反映している。

 著名人経営者というプレミアムがついて、ゲタをはいた株価になった点に留意しておきたい。初値で参戦して利益が出る銘柄ではない。雰囲気にのまれて高値づかみをしないよう注意が肝要である。
(文=編集部)

【続報】
 株価は伸び悩み気味だ。3月22日に上場来安値の4260円をつけた。24日には225円安の4415円で終わった。この日の安値は4405円である。上場来の高値は17日の5480円。上場2日目につけた高値を更新していない。24日の出来高(取引数量)は6万6100株。ジャスダック上場の人気銘柄は50万~80万株商いができるし、100万株を超える銘柄もある。

BusinessJournal編集部

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