大阪のシティホテルはすべての月で稼働率が80%超え
この調査では、全国の都道府県別に宿泊施設ごとの客室稼働率を調べている。注目は大阪府の稼働率の高さである。全国平均の稼働率が60%であるのに対し、大阪府は84.1%でトップ。2位は東京都の79.4%、3位が京都府と福岡県の70.9%で、80%越えは大阪府だけだ。
大阪府の稼働率を施設別で見ると旅館は47.7%(3位)と低いものの、リゾートホテル89.3%(1位)、ビジネスホテル85.4%(1位)、シティホテル87.9%(1位)、簡易宿所64.9%(1位)と、軒並みトップだ。シティホテルは年間を通じてすべての月で80%を超えた。
大阪府の年間の延べ宿泊者数は3141万8630人で東京都、北海道に次いで3位。外国人の延べ宿泊者数(約1025万人)の伸びが同14.4%増と東京都(同2.8%増)の5倍にも達している。
「昨年、関西国際空港(関空)の利用客数が初めて2500万人の大台を超えました。LCC(格安航空会社)を中心に、アジアで路線・便数が増加し利用客数の増加につながりました。関空に到着した旅行客の最初の宿泊地が大阪府になるため、稼働率を押し上げているとみられます」(前出の旅行ジャーナリスト)
大阪に出張するビジネスパーソンから「最近、大阪のホテルが取りにくくなった」という声をよく聞くが、稼働率がこれだけ高ければ当然だろう。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をはじめとする観光・娯楽スポットを訪れる一般旅行客も多い。
1970年の大阪万博をピークに大阪の“地盤沈下”が叫ばれて久しい。だが、この数字を見ると、大阪は復権したといえるのではないか。
3月21日に発表された17年の全国の公示地価で、商業地の上昇率トップ5を大阪が独占した。トップは大阪市中央区のフグ料理店「づぼらや」道頓堀店で、地価は41.3%上昇した。「ミナミ」と呼ばれる大阪市中央区の繁華街にあり、フグの看板を前にして写真を撮る外国人客が急増している。大阪の商業地の地価上昇は、訪日客の増加が後押ししたといっていい。
こうした動きを大阪の完全復活、関西全体の再浮上につなげることができるかどうかが大きなカギとなる。
(文=編集部)