三菱商事は地元連合に、オリックスは独自に参戦
他方、民営化される福岡空港の運営委託先を決める入札に参加するため、地元連合が形成された。福岡空港のターミナルビルなどを運営する福岡空港ビルディングに出資していた九州電力や西日本鉄道が、16年7月に空港の運営権取得を表明。これを機に、これまで出資していなかったJR九州など地元企業が合流する動きが加速し、今年2月、入札に参加するため福岡エアポートホールディングスを設立。そこに日本航空やANAホールディングスも参加した。
しかし、地元連合には、空港の管理運営や、海外航空会社との折衝といったノウハウがない。そこで、総合商社が持つネットワークに期待して、三菱商事や住友商事と接触を重ねてきた。
地元連合は4月5日、三菱商事とシンガポールで空港を運営するチャンギ・エアポート・グループと組むことで合意したと報じられた。チャンギはシンガポールのほか、イタリアやロシア、ブラジルでも空港運営に携わるなど、積極的に世界展開をしている。
三菱商事はミャンマーのマンダレー国際空港で航空機や旅客の誘導などを手掛ける。モンゴルやフィリピンの空港建設にも参入している。三菱商事は国産ジェット機MRJを開発した三菱航空機の第2位株主。MRJを活用したビジネスに意欲を燃やしており、仙台空港の運営権の入札に参加していた。
地元連合が重点を置いたのは出資比率だ。たとえば、関西エアポートの出資比率はオリックス40%、ヴァンシ・エアポート40%で、関西の地元企業は合計で20%にとどまり、影響力を持ち得なかった。福岡の地元連合は、出資比率の過半数以上握り影響力を行使することを狙う。ただ、地元連合にとって、大口出資を見込んでいた福岡市が降りたことは痛手となった。
三菱商事が地元連合に参加することが明らかになった翌日の4月6日、オリックスを中心とした企業連合が入札参加を検討していると報じられた。
オリックスは、関西エアポートのパートナーとなったヴァンシと企業連合を組んで参戦する。関西国際空港と伊丹空港を一体運営したように、北九州空港の民営化を前提に、一体運営を視野に入れている。北九州空港は24時間運用が可能で、ヴァンシの海外航空会社のネットワークを生かした国際線誘致の可能性を追求する。
福岡空港の運営会社の公募は5月に始まる。「地元連合、三菱商事」と「チャンギ・エアポート・グループ、オリックス、ヴァンシ・エアポート」の一騎打ちとなる。
(文=編集部)