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トランプ、米国第一主義頓挫で八方塞がり…自賛の「驚くべき税制改革」も内容ゼロ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

限界に近づきつつある投資家の忍耐

 
 26日に税制改革案が発表された後、米国の株価は下落し、ドルも売られた。これは、「驚くべきといわれても、驚くに値する内容ではない」との、投資家の率直な反応の表れだ。それでも、米国を中心に主要国の株価は堅調な展開を維持している。6月以降に示される税制の詳細な内容に期待する投資家は多いようだ。

 いうなれば、いつ実現するかわからない経済対策を期待して、投資家は粘り強く辛抱している、というのが現状だ。この忍耐がどの程度続くかが、今後の金融市場を左右するだろう。冷静に考えると、トランプ政権が経済対策を実行に移すのは難しいと考えられる。財源が示されていない状況のなか、財政均衡を重視する共和党の保守派議員が減税案に賛成するとはいいづらいからだ。

 今後も、誇張表現は目立つが、経済対策の詳細が示されない可能性がある。すでに、新車販売台数が年初から3カ月続けて減少するなど、米国経済のファンダメンタルズ(=基礎的条件)は不安定さを増している。トランプ政権が経済対策を実行できないなかで経済指標が悪化し始めると、これまで以上のマグニチュードで期待が剥落する恐れがある。

 発足後の100日間、世界の投資家はトランプ大統領の実行力を見定めようとしてきた。同氏が内容のない主張を繰り広げるなら、投資家の忍耐は限界を迎える恐れがある。そのため、足元の円安の流れが続くと楽観はできない。米国株式市場の下落などをきっかけにリスクオフが進んだ際には、これまで以上のペースで円が買われる可能性があることに注意すべきだろう。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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