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伊藤忠パニックの衝撃…ファンドの餌食になる日本企業、突然の攻撃的リポートで株価急落

文=編集部
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 こうした手法では、証券会社から株を借りて(証券会社側から見れば貸株)売る。株価が下がったところで買い戻して儲ける。兜町筋は外資系証券会社が貸株をしているのだろうと推測していた。一般に、貸株の手数料はかなり高い。リポートが出された日、伊藤忠株は一時10%下がった。仮にここで買い戻したとしても、「相当な利益」が実現したかどうかは不明というのが専門家の共通認識だった。

 その後の伊藤忠の株価をみてみると、リポートが出る直前の株価は上回っているが、17年5月2日の終値は1627.5円。増配と自社株買いの発表を受け31円高となったが、当日のそれ以前の株価は1500~1600円で推移していた。

 グラウカスのリポートが出た直後、伊藤忠は監査法人トーマツから「適正との意見を得ている」と反論した。トーマツは4大監査法人のひとつで、海外の大手監査法人を指すビッグ4のひとつ、デロイト トウシュ トーマツリミテッドのメンバーチームだ。

サイバーダイン

 16年8月、米投資情報会社シトロン・リサーチが介護ロボットのベンチャー企業、サイバーダインに対して攻撃的な文言のリポートを出し、売りを煽った。サイバーダインの監査法人もトーマツである。

 サイバーダイン株も急落した。16年8月16日の東京市場では一時、前日比225円安(11%安)の1852円まで売られた。売買代金は前日の9倍。売りを仕掛けた米調査会社シトロン・リサーチはサイバーダインの株価を「世界で最も馬鹿げた株価」と酷評し、目標株価を300円(85%安)とした。19日の終値は1681円。リポート発表前の15日終値に比べて2割安くなった。17年5月2日現在のサイバーダインの株価は1571円。売り叩きの傷は癒えておらず、リポートが出る前に比べて25%も安い。

 ファンドが日本市場に参入するなか、これまであまり知られていなかった調査会社が影響力のある存在として登場してきた。それがウェル・インベストメンツ・リサーチだ。15年12月に「巨額の減損リスク」と題する、丸紅が減損処理を意図的に遅らせているのではないかという疑惑を投げかけるリポートを公表した。丸紅の15年12月30日の終値は625.1円。17年5月2日の終値は693.0円だから、株価の反発力は弱い。

BusinessJournal編集部

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