5月26日付当サイト記事『ライザップ、赤字企業を次々買収の狙い…ジーンズメイト、なぜ9期連続赤字でも株価高騰』に引き続き、RIZAPグループ銘柄の株価急騰の宴の後を、もう一度リポートする。
M&A(合併・買収)に投下した金額の大きさからみて、RIZAPグループの中核銘柄はジーンズメイトとマルコだ。
カジュアル衣料専門店のジーンズメイトは5月中旬に2日連続でストップ高(各80円高)を演じ、1月の高値を抜いて5月18日に、とうとう430円の年初来高値をつけた。だが、その後は急落し、6月9日には340円まで下げた。わずかの間に20%強も下落したことになる。「安値は1月5日の188円なので、まだ続落の余地を残している」と証券関係者は指摘する。
女性用体型補整下着のマルコは、6月に入ってからも株価は堅調に推移し、6月5日に374円の年初来高値をつけたが、6月9日には333円と10%強値下がりした。マルコの年初来安値は4月13日の128円だから、現在でも安値から2.6倍の水準である。「RIZAPグループ銘柄」という化粧が落ちた時、株価はどう動くのだろうか。
堀田丸正が新たにグループに加わる
東証2部上場で、ヤマノグループだった堀田丸正が発行する第三者割当増資をRIZAPグループが引き受け、6月28日付で子会社にすることが明らかになった。このM&Aに投下された金額は19億円で、RIZAPグループは発行済み株式数の6割強を握る。
堀田丸正は5月30日に222円の年初来高値をつけた。安値は4月13日の107円だから、株価倍増である。RIZAPグループ入りが報じられた5月23日の翌24日には50円高(ストップ高)の184円で1日中、値段が張りついており、その後222円まで値上がりした。6月9日の終値は12円高の205円。それでも高値から8%の下げだ。
RIZAPグループは、ジーンズメイトやマルコのほか、低価格衣料品を扱うネット通販の夢展望など、アパレル企業を次々と傘下に収めており、今度は和装卸の堀田丸正を買収する。
新興市場の銘柄の一部の下げは顕著
イデアインターナショナルと夢展望の株価の推移をみておこう。
イデアインターナショナルは6月9日に一時、1274円をつけた。株式2分割後の高値である。2分割後の安値は5月30日の971円だから31%上昇したことになる。この銘柄の値動きは激しさについては後述する。
夢展望は5月24日の2610円が年初来高値だ。その後、急落。6月9日の終値は1799円である。この日、1745円まで下げた。高値からの下落率は33%。それでも2月6日の年初来安値が442円と比較すると株価は4倍に大化けしたことになる。
RIZAPグループに加わった企業には、このほかSDエンターテイメント、パスポート、ぱどがある。
SDエンターテイメントの株価は4月13日の安値645円から5月25日の年初来高値933円まで値上がりした。6月9日の終値は813円(3円高)。下落率は13%だ。
パスポートは4月13日の271円から5月25日に472円と1.7倍に値上がりした。6月9日の終値は18円高の363円である。この日の安値は347円だから、高値からの下げ幅は26%である。
ぱどは3月28日の安値303円から5月24日の475円へと1.3倍の急騰ぶり。6月9日の終値は2円高の400円。この日の安値は395円だったので、高値から17%下落した計算だ。
株価高騰の夢のあと
マザーズやJQ市場のデイトレーダーのなかには「株価の推移、出来高からみて、大損をしている人は、そう多くないのではないか」という分析があるが、はたしてそうなのか。
5月24日のRIZAPグループ銘柄の株価の変動は、特に激しかった。この日、夢展望は一時500円高の2610円まで値段が暴騰した。これが今年の高値だ。また、株式の2分割を発表後、上場来高値を更新中だったイデアインターナショナルは同日、399円高の2377円まで上昇した。その後、株式を2分割しているので、この日の高値で計算した場合、妥当値は1188.5円ということになる。6月9日に1274円をつけているから、分割前の株価に引き直すと2548円。2分割前の年初来安値は1月4日の784円だから3.25倍に暴騰したことになる。
株価の動きが止まってしまえば、かなり損失を抱える個人投資家、個人投機家が出ると予想されている。RIZAPグループ銘柄の株価高騰はまだ続くのか。それとも一相場終わったのだろうか。
(文=編集部)