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新社長の系譜、最終報告

相次ぐ企業の“異例”トップ人事のワケ 三菱重工、東芝では非本流から抜擢

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 高機能化学品など新規事業の開発を担当しているほか、メカトロニクス事業のトップとして自動車用のブレーキ(売り上げの13%)の強化に取り組む。

 三井造船は、田中孝雄常務(62)が6月27日に社長に昇格する。加藤泰彦社長(65)は代表権のある会長に就く。田中氏は福島県出身。73年東北大学工学部を卒業、三井造船に入社。07年取締役、09年から常務。これまで過去4代の社長は造船部門出身だったが、田中氏は船舶用エンジン畑が長く、機械・システム事業本部ディーゼル工場技術部長、同事業本部長を歴任した。造船部門以外からの社長就任は20年ぶりのことだ。

 三井造船は売り上げの5割強を造船部門が占めるが、船腹過剰による受注の冷え込みで、12年4~12月の船舶の受注は2隻にとどまった。経営企画担当として次期中期経営計画に携わった田中氏は、海洋開発など事業領域の拡大と新しいビジネスモデルの確立を急ぐ。

【小売業】
 J.フロントリテイリングは4月1日付で、前大丸松坂屋百貨店社長の山本良一氏(61)が社長に就任した。会長兼最高経営責任者(CEO)だった奥田務氏(73)は相談役に退き、後任の会長にはJ.フロント社長の茶村俊一氏(67)が就いた。山本氏のJ.フロント社長就任に伴い、大丸松坂屋社長には、大丸出身の好本達也氏(56)が昇格した。CEOは廃止になった。

 奥田氏は97年に大丸社長に就任以来、16年にわたり経営改革を進めてきた。07年には松坂屋ホールディングスとの統合でJ.フロントを誕生させ、本格的な百貨店再編の口火を切った。「脱・百貨店」への構造改革に一定のメドがついたと判断し、秘蔵っ子の山本にバトンタッチした。

 10年以上の間、「夫婦のようなあうんの呼吸で百貨店改革」を進めてきたという奥田会長から社長就任を打診された時、山本氏は「時期が来たか」と即座に覚悟を決めた。

 山本氏は家庭用品売り場からスタート。自社やライバル社の売り場を徹底的に歩き回り、改善点を見つけて売り場改革を提案し、頭角を現した。今も自社やライバル社の店舗を見て回る。「(自社の)店の配置も優秀な販売員(の名前)も全部頭に入っている」という。

 山本氏は神奈川県出身。73年明治大学商学部を卒業、大丸(現大丸松坂屋百貨店)に入社。03年大丸社長。07年J.フロント取締役。10年大丸松坂屋百貨店社長。今後も奥田路線を継承し、脱・百貨店の経営モデルの完成を目指す。

【保険業】
 東京海上ホールディングスは永野毅副社長(60)が6月末に社長に昇格する。傘下の東京海上日動火災保険の社長も兼ねる。隅修三社長(65)は会長に就く。

 永野氏は高知県出身。75年慶應大学商学部を卒業、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)に入社。名古屋でトヨタ自動車を担当した営業部長時代に、当時の渡辺捷昭・トヨタ社長の懐に潜り込み、抜群の実績を上げた。早くから社長候補と目され、12年に持ち株会社と事業会社の副社長に就いていた。

 大学時代は慶應水泳部の遠泳チームで主将を務め、伊豆の下田から大島までの40キロを泳いだ。古式泳法「水府流」の師範でもある。自分の長所を「遠泳で30キロも40キロも泳ぐので、諦めないで一歩一歩ゴールに進んでいく粘り強さがある」と評する。

【不動産業】
 住友不動産は仁島浩順(にしま・こうじゅん)代表取締役資産開発事業本部長(52)が6月末の株主総会後の取締役会で社長に昇格する。小野寺研一社長(66)は代表権のある副会長に就く。高島準司会長(83)は続投する。

 仁島氏は島根県出身。84年東京大学法学部を卒業、住友不動産に入社。常務執行役員などを経て10年から代表取締役。まだ52歳という若さだが、最高実力者の高島会長から「かめばかむほど味がある男」といわれ、社長に抜擢された。

BusinessJournal編集部

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