フマキラーは国内3位だが、海外に強いのが特徴だ。同社は長年にわたり、アジア地域をはじめ感染症対策の最前線で活躍してきた。海外に開発拠点を設置し、現地の害虫を徹底的に研究してきた。このため、高い製品力が評価され、ベトナム、インドネシア、イタリアをはじめとする多くの国でナンバー1のシェアを獲得している。
ヒアリの国内確認を受けて、フマキラーは環境省に協力し研究員を神戸に派遣。緊急防除のために同社製品が使用された。その後、新たに発見された特定外来生物のアカカミアリに対しては同社のアリ対策剤の効果が確認されている。
フマキラーは商品提供や情報発信など、いち早く地道な対応をしてきたことから、ヒアリ関連銘柄の本命と位置づけられているのだ。
ヒアリ狂想曲に沸く株式市場
加えて、フマキラー以外のヒアリ関連銘柄の株価の推移を追ってみよう。
アース製薬の7月7日の株価は一時、前日比2.3%高の6220円まで上昇し、年初来高値の6230円(5月8日)に迫る場面があった。週明けの7月10日には6400円(330円高)と急伸、11日にも一時、6520円まで値上がりした。年初来高値だ。年間の安値(4725円)からの上昇率は38%だ。
アース製薬は6月20日、「ヒアリは薬剤への抵抗性が特段に強いわけではなく、通常のアリ用殺虫剤でも十分に効果が発揮されると考えられる」とホームページ上で情報を発信。自社の殺虫スプレー「アリアースジェット」や設置型の「アリの巣コロリ」の使用を呼びかけた。
アース製薬と資本業務提携している大幸薬品は7月7日、一時、年初来高値の2430円をつけた。
害虫駆除関連の事業を手がける企業では、農薬製造のエス・ディー・エス バイオテックが7月5日、980円の年初来高値を更新。防虫剤を練り込んだ「虫の嫌がる網」でヒットを飛ばしたニックスは7月5日、1645円の年初来高値をつけた。
木造家屋向けのシロアリ防除が主力のアサンテは7月7日、2157円に上昇。2013年3月に上場して以来の最高値を更新した。白アリ駆除のサニックスも7月5日、320円の新高値となった。
フマキラーの大下一明社長は「(ヒアリの来襲は)環境変化がもたらしたもの。状況は想像以上に深刻だ」とインタビューに答えている。地球温暖化の進行もあり、人・モノの活発な往来で害虫の活動範囲が拡大していることに強い危機感を持っているようだ。
(文=編集部)