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バーバリーを失った三陽商会、一斉大量閉店の危機的状況…アパレルなのに他社ブランド頼み

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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深刻な“バーバリーロス”

 三陽商会にとって、バーバリーがなくなったインパクトは相当大きかった。16年12月期連結決算は、売上高が前期比30.6%減の676億円、営業損益は84億円の赤字(前年同期は65億円の黒字)、最終損益は113億円の赤字(同25億円の黒字)で、大幅な減収減益となった。

 業績悪化の主な要因はもちろん、バーバリーがなくなったことによる。バーバリーブランドがなくなることによる売り上げ減は当然に想定されていたが、誤算だったのは、新たに立ち上げたマッキントッシュ事業が不振に陥ったことだろう。

 マッキントッシュ・ロンドンとマッキントッシュ・フィロソフィーで構成されるマッキントッシュ事業では、16年12月期に約245億円を販売する計画を立てていたが、終わってみれば計画の8割にしかならなかった。期待が先行し、完全に読み違いとなってしまった。

 ただ、認知度の向上などによって、目下マッキントッシュ事業の販売は上向きつつある。17年1〜6月期の売上高は前年比で10%増加し、比較的好調に推移している。マッキントッシュ・ロンドンだけでは16%の増加だ。

 マッキントッシュ・ロンドンは、英マッキントッシュとのライセンス契約で生まれたブランドだ。マッキントッシュは19世紀からゴム引きコートをつくり続けているブランドで、現在はほかにもトレンチコートなどのアウターウェアを中心に販売し人気を博している。アウターウェアの中心価格帯は十数万円と、高級路線のブランドだ。

 一方、マッキントッシュ・ロンドンはアウターウェアもさることながら、シャツやニット、小物なども充実し、ラインナップの幅は広い。アウターウェアは十万円に満たないものが多く、マッキントッシュよりも価格帯は低い。販売戦略の構図はバーバリーのときと同じで、本家のブランド力を借りた上で、より低価格で販売するというものだ。

 これはこれでひとつの方法ではあるが、ライセンス販売に頼りきってしまえば、自社独自のブランドが育たないというジレンマを抱えてしまう。基幹ブランドのひとつに位置づけている自社ブランドの「エポカ」が不振にあえいでいることが、その象徴といえるだろう。

 エポカ事業の売上高は、15年12月期は計画と前年実績を下回り、16年12月期は前年をかろうじて上回ったものの、17年1〜6月期においては、目標と前年実績が共に下回っている状況にある。三陽商会の自社ブランドは育っていない。

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