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一方、都市部での環境汚染が深刻化していることや、フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車の不正事件の影響もあって環境規制が強化されている。英国、フランスは40年以降、ガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。カリフォルニア州など米国の10州では、自動車メーカーに一定台数以上、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの環境対応車の販売を義務付ける。中国やインドなどでも、自動車メーカーに電動車の販売を義務付ける政策が導入される見通しだ。
EVシフト
これらの動きから、世界の自動車各社はEVの開発を本格化している。VWは25年までに新型EVを30車種以上投入して新車販売の25%をEVにする計画を掲げる。ダイムラーは22年までにEVを10車種以上投入、同じく25年までにEVの販売比率を25%にする計画を打ち出している。大手自動車メーカーのなかで最もEVに否定的だったトヨタ自動車でさえ、16年末からEVの開発に乗り出さざるを得ないほど。
EVシフトは鮮明で、EVに早くから注力してきた日産にとっては追い風となるはずだ。にもかかわらず、EVの航続距離を左右する重要なデバイスである車載用電池事業を売却するのはなぜか。
ある自動車メーカーの役員は「リチウムイオン電池技術に関して、日産がNECを見限ったからでは」と指摘する。日産はNECが保有するAESCの株式49%を取得した後、GSRにAESCの株式100%を売却する。また、NECはリチウムイオン電池と正極材を開発・製造する子会社のNECエナジーデバイスをGSRに売却する方向で交渉しており、車載用リチウムイオン電池事業からは事実上、撤退する。
日産は、NECの電池関連技術を活用して競争力の高い車載用電池を開発・生産することを目論んでいたが、「東芝やパナソニックなどのほうがリチウムイオン電池に関しての技術が進んでおり、あてが外れた」(同)というわけだ。
コモディティ化
日産が車載用電池事業を売却するもうひとつの大きな理由とみられるのが、電池を取り巻く状況の変化だ。
「EV市場の拡大を見越して中国の企業で車載用電池関連事業への参入が相次いでおり、日産のゴーン会長はリチウムイオン電池と関連部材が遠くない時期にコモディティ(汎用)化すると読んでいる」(自動車専門誌記者)
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