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市場参加者の視点から考えた場合、大塚家具は社会の公器であるという企業のテーゼを忘れてしまったようだ。親子間での骨肉の争いに多くの株主を巻き込んだ代償はあまりに大きすぎる。同社は投資家からの信頼を失ったといえる。その上に業績の低迷が重なっている。打開策を見いだすことは容易ではない。本気で経営の再建を目指すなら、現経営陣が責任をとって一線を退き、経営のプロに再建をゆだねるべきとの見方もできる。
大塚家具のケーススタディから導き出されるインプリケーション(含意)は、ガバナンスの機能不全に端を発する業績の悪化を食い止めることはかなり難しいということだ。東芝の巨額損失の場合、一部の“声の大きい”マネジメントの意向が優先され、海外での買収にかかわる契約リスクが見落とされた。タカタの場合、創業者一族の影響力が大きかったため保身が重視され、問題が隠ぺいされたとの指摘が多い。
経営上のリスクが顕在化した時点で、こうした企業の経営陣は「この問題は対応可能であり、大したことにはならない」と高をくくっていたのではないか。その背景には、常にこれまでのシェアと収益力があるから経営状況が悪化することはないとの過信、慢心がある。その認識が問題を放置し、気づいた時には対応策が見いだせないほどにまで状況を悪化させてしまう。
大塚家具も同様だ。形式上のガバナンスを整えても、機能はしない。ガバナンスの強化を経営改善につなげるためには、第三者などからの諫言を冷静に受け止める経営者のマインドセットが不可欠だ。大塚家具の再建がどうなるかは、現経営陣がこの問題をどう理解するかにかかっていると言っても過言ではない。
勝久氏としては、けんか別れした長女のことがかなり心配になっているようだ。勝久氏とすれば、早く久美子氏が失敗に気づき、勝久氏との共同経営の体制に戻したいというのが本音なのだろう。
(文=石室喬)
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