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現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”第36回

アンジャッシュ渡部のダメダメ会見、所属プロ・人力舎の“采配ミス”はなぜ生まれたか?

文=芸能吉之助/芸能マネージャー

geinou

 どうも、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。

 不倫スキャンダルで大バッシングを受けたアンジャッシュ渡部建さんは、いまだ休業状態ですね。昨年12月3日には会見を開きましたが、これもまた大炎上しました。会見がうまくいけば、今頃復帰していた可能性もあるのに、非常にもったいないことをしたんじゃないかな~。少し時間がたってしまいましたが「タレントの会見」の実態をある程度わかっている芸能界の内側の人間から見た、あの会見の「仕切りの悪さ」について分析してみましょう。

 芸能人は、不祥事だったり不倫だったり何かしらスキャンダルを起こした場合に謝罪会見を行うケースがよくあります。この場合、会見前に報道陣と事務所サイドとの間で、各媒体のレポーターのなかで仕切り役となる人は誰なのか、どこまでツッコんだ質問をしていいのか……などを事前にある程度共有しておくのが普通です。

 こういうことを言うと、「そんなのヤラセじゃないか」と批判されそうな気もします。とはいえ、なんの仕切りもないまま会見を開いて、ワイドショーや紙面で使えないような会見になってしまえば、事務所側はもちろん報道陣も困るわけで、ある程度の筋書きは必要。もちろん、その筋書きをかいくぐってキワドい質問をするというのもレポーターの“腕”であり、それに対して実際にどう回答するかというのもタレントの能力のひとつ。そこから、“筋書きのないドラマ”が生まれることもあるわけですから(笑)、「すべては仕組まれたこと」という見方をする一般の方がいるとすれば、それはやはり違うと思います。

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2020年12月3日、渡部建が開いた謝罪会見は始終グダグダで大炎上した。あの会見がうまくいっていれば、今頃は復帰していたかも? (写真:REX/アフロ)

「ガキ使復帰」ありきだったのがミエミエだった渡部建の記者会見

 しかし12月3日の渡部さんの会見では、それがまったくといっていいほどできていなかった。会見前に、昨年末の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の『笑ってはいけない』シリーズへの出演が報じられていたこともあって、報道陣は渡部さんに、「収録に参加したのかどうか教えてください」「会見前に仕事はしていないのですか?」「今まで会見から逃げていて、なぜ収録に参加したんですか?」「収録に参加することは奥様(女優の佐々木希)に相談したんですか?」といった質問を投げかけましたが、渡部さんはひたすら「申し訳ないのですが、お答えできません」「私の口からは何も言えません」と言うばかりで、報道陣と、所属事務所のプロダクション人力舎サイドがまったく情報共有できていないことがまるわかり……。

 また、『ガキ使』出演報道後というタイミングで開かれた会見だったことで、「順番が逆なんじゃないか」とツッコミが入っていましたが、渡部さんは「騒動が6月だったものですから、年内いっぱい自粛をして記者会見という形で復帰をできないかと思っていました。半年という期間も、まことになんの根拠もないといいますか、勝手にこちらがなんとなく年内だったらいいんじゃないかと。これも誤りだったんですけれども」と、なんとも歯切れの悪い回答。

「なぜ6カ月たった今、なんのために謝罪会見をしているのか」という質問には、「昨今の報道を受けまして、世間の皆様から会見しないでどうするんだというお声をたくさん頂戴しました。何かの番組に出てしれっと復帰ということではなくて、復帰のタイミングでこういうことを考えていたんですけれども、昨今の報道で一日も早くやったほうがいいということで、謝罪会見を勝手ながらさせていただきました」と話していましたが、肝心の『ガキ使』復帰報道については何も説明できない状態では、どうしても「復帰ありきの会見だったのでは」という印象は拭えませんよね……。

「囲み会見」という手法は、本人を萎縮させ最悪の結果を生み出しやすい

 ちなみに渡部建さんの会見は本人と記者の距離が近く、大勢の記者に囲まれる圧力から本人の焦りにつながりやすいともいわれる、いわゆる「囲み会見」。これも状況も悪化させた要因のひとつでしょう。しかもこの日は女性記者が多く、「世の女性は多目的トイレで1万円を渡して帰したことに不快感を感じている方が多い。今振り返って、それについてどう考えているのか」といった女性目線での鋭い質問もたっぷりで、渡部さんは恐縮しっぱなし。司会進行役が全体の流れを仕切りつつ、渡部さんがマイクを前にテーブルに着席して記者からの質問に答えるという形式なら、少しはまともな会見になったかもと、芸能マネージャーとしてはどうしても考えてしまいます。

 ネットでは、渡部さんが不倫現場として利用していた「多目的トイレ」に関して、報道陣から「なぜこの場所だったんですか?」「車いすの方やお年寄りが使用される場所ですよね」「仕事と仕事の合間でちょっと会うためだったんですか?」「報道後に多目的トイレは使いましたか?」などとさまざまな質問が飛び交ったことについて、「えぐすぎる」といった反感の声も上がっていました。

 しかし、渡部さんが会見を開く上で、この多目的トイレについての質問が避けられないことは明白。もし多目的トイレに関する質問を誰もしなかったとしたら、それこそ「忖度」だと批判が殺到したはずです。だからこそ、事務所側が報道陣に対して、「多目的トイレに関する質問はこういう聞き方なら答えられるけど、こういう聞き方は厳しいです」といった具合に、具体的にお願いしておくべきだったんです。

芸能レポーターの“絶妙のパス”に対して、芸人としてチャンスを逃してしまった渡部建

ガキ使』に関する質問に対して言葉を濁し続けた渡部さんに、ある男性記者が「我々も『ガキの使い』で来ているわけではないんですから」と投げかけた場面も話題になりましたが、あの質問を渡部さんが“有効活用”できなかったことももったいなさすぎる! あの質問は、芸人の謝罪会見の場でのレポーターとしては、非常に“正しい対応”なのです。男性記者はツッコミ芸人である渡部さんに対して“最高のパス”を出していたのに、彼は気まずそうに、「すみません、申し訳ないです」と答えただけ。芸人として面白い返しをする絶好のチャンスだったのにね……。

 もちろん、謝罪会見にもかかわらず、まったく反省していない様子を見せるのはNGですよ。とはいえ、やっぱり芸人ならどんな場面でも世間を笑わせてナンボであって、エンターテイナーとして気の利いた返しは必要です。ビートたけしさんも『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で渡部さんの会見について、「不祥事でもいいことでも、インタビューは勝負どころ。ひとつのショーだと思わないといけない。それをお笑いだったらお笑いにもっていって、大爆笑で終わって『すいません』なんだけど。これはちょっと段取りも間違っている」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだったと思いますね。

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2020年7月に公開された映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』のDVD版ジャケット。東出昌大(写真左)の不倫が報じられたのは2020年1月。この作品の公開がひかえていたこともあり、東出サイドは騒動の沈静化を図るため、同年3月17日、記者会見を開くこととなる。

東出昌大の記者会見は、「正直さ」という意味では好印象だったのではないか

 それができないというなら、せめて“自分の言葉”で、正直に話すべきでした。芸人と俳優という立場こそ違えど、同じく不倫で大バッシングをくらった東出昌大さんは、自分に正直な会見をしていたと、僕は思います。

 東出さんはリポーターから、「杏さんと唐田さん、どちらが好きなのか?」というあの究極の質問をされて、「私の心の内を今ここでしゃべることは、妻を傷つけることになると思いますので、お答えできません」と答えていました。もちろんこれ、批判をされましたが、すごく正直で誠意のある答えだと私は思います。もし妻である杏さんが好きだと即答しても白々しさがありますし、本当に杏さんの気持ちを考えていたからこその答えだったのではないでしょうか。

 結局のところ渡部さんの会見は、芸人らしさを見せることもなく、本音も明かさないものだったので、一体何がしたかったのか、最後までわからなかった。全体的に事務所側の仕切りが不十分だったことはもちろんですが、渡部さんが自身の不倫スキャンダルに対して、世間がどれほど嫌悪感を持っているのかをリアルに理解できていなかったという部分も大きいでしょうね。

 ただでさえ叩かれる「不倫」という行為に加えて彼は、「多目的トイレで性行為をし、帰り際に相手女性に1万円を渡す」という、本来使用してはいけない場所で、まるで女性を性欲処理のための道具のように扱う非情な人間であることが明るみになったわけです。ひたすら自分の性欲優先で、相手女性への敬意が感じられませんし、もはや不倫と呼べるのかどうかもわからない。そりゃあ世間には嫌われますよね。なので、あのタイミングで会見をしても、世間に「半年の謹慎は短いだろ!」とツッコまれることくらい、冷静に考えていたらわかるはず。

 それに、不倫発覚直前に活動自粛をして“雲隠れ状態”だったことも叩かれていたのに、『ガキ使』出演報道があった上で謝罪会見を開いてしまえば、都合よく隠れたり出てきたりしている印象が強くなる。不倫の内情がひどすぎたこと、質問に対する本人の考えがまったく伝わってこない回答ばかりだったこと、復帰ありきのタイミングだと思われる会見だったことなど、これはもう、炎上する要素は十分揃っていたということになりますよね。不倫発覚前の渡部さんはクレバーなイメージをウリにしていましたし、本当に、もう少しうまいこと切り抜けられたのではと残念に思います……。

記者に直撃されて、「大失敗」を認めてしまった人力舎の社長

 ちなみに12月3日の会見の翌日、「週刊女性」(主婦と生活社)のある記者が、渡部さんの所属事務所である人力舎の社長の玉川大氏の車に直接乗り込み、真相を尋ねていましたね。

 その際、玉川氏は「会見が遅れたことはすべて私の責任です」と明かした上で、「小さな会社ですが、渡部ひとりのせいで傾く会社にしたつもりはありません」と、渡部さんの復帰を会社として急いでいたわけではなかったと強調していました。しかし記者から、ならば『ガキ使』出演を人力舎から依頼する必要はなかったのではと問われると「……うーん……それは……もう『お察しください』としか……」と口ごもってしまったそう。当然ながら会社としても、一連の経緯は大失敗だったと感じているのでしょうね。

 渡部さんの多目的トイレ不倫には、女性に対するサディスティックな性癖も見えますが、こういう性癖が原因でトラブルを起こすケースって、芸能界では珍しいことじゃないんです。いやはや、うちの所属タレントにもきちんと言っておかないとですね……。

(構成=田口るい)

芸能吉之助/芸能マネージャー

芸能吉之助/芸能マネージャー

弱小芸能プロダクション“X”の代表を務める、30代後半の現役芸能マネージャー。趣味は食べ歩きで、出没エリアは四谷・荒木町。座右の銘は「転がる石には苔が生えぬ」。

Twitter:@gei_kichinosuke

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