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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

空間除菌やサプリ、消費者庁が注意喚起…コロナ詐欺が横行、「新型コロナに効く」は疑え

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
空間除菌やサプリ、消費者庁が注意喚起…コロナ詐欺が横行、「新型コロナに効く」は疑えの画像1
「Getty Images」より

 新型コロナウイルスワクチンの接種も始まり、東京五輪開催という希望とともに「コロナに勝利」というゴールが見えてきたように感じる人も多いだろう。そんな人々の気持ちにつけ込むように「コロナ詐欺」が増えており、消費者庁が注意を呼びかけている。なかには、“インチキ医療”的なものもあり、消費者にとってその真偽を判断するのは難しいものもある。

 一般社団法人予防医療研究協会理事長の苅部淳医師は、新型コロナに関する「正しい情報」「的確かつ効果的な予防策」を発信し続けているが、悪質なケースが後を絶たず、取り締まりを強化すべきだと話す。

インチキ医療は感染拡大当初から

 消費者庁は昨年3月10日と今年2月19日にも、インターネット広告において新型コロナに対する予防効果があると標ぼうする健康食品やマイナスイオン発生器、空間除菌商品などに対し、SNSなどを通じて一般消費者に注意喚起を行っている。苅部医師が特に悪質だと感じたケースは、治療効果を謳ったものだという。

「6月には大阪で、タンポポ茶が新型コロナの予防に効くと宣伝したとして、大阪府警は健康食品輸入会社の社長ら2人を逮捕しています。医薬品ではないのに新型コロナに有効などと宣伝したため、薬機法違反(未承認医薬品の広告)であったとのことです」

 現時点で、サプリ、健康食品、マイナスイオン発生器、空気清浄機、空間除菌剤などの商品については、新型コロナに対する効果を裏付ける根拠は認められていない。しかしながら、直接、効果・効能を謳わないまでも「効果」を暗示するような広告が多いのは事実である。

「新型コロナを商機と考え、売り上げを伸ばすために誇大広告や虚偽広告を打ってしまうのだと思います。今回の改善要請の対象になった商品では、『アンチエイジングにもコロナウイルス対策にも水素サプリメント』『白樺キノコ(チャーガ)をベースにしたコロナウイルスの治療法を発見』と謳う健康食品、『新型コロナウイルス除去にも期待!ウイルス除菌率99%!』と謳うマイナスイオン発生器、『新型コロナウイルスと同じ構造のウイルス 97.9%以上除菌』と謳う除菌スプレーなどで誇大広告が目立ちますが、どれも根拠がないものばかりです」

「コロナに効く」はすべて疑うべき

 長引くコロナ禍に誰もが不安を感じるだろうが、コロナ詐欺に騙されないためには、あらためて現状を再認識することが大切かもしれない。全世界の専門家がコロナ治療薬の研究を進めるなか、既存薬を新型コロナ感染症治療に転用することにより症状が改善したケースはあるが、インフルエンザ治療薬のような「特効薬」は、いまだに見つかっていない。この事実から考えれば、サプリメントや健康食品に新型コロナに対する効果が期待できないことは明白である。

「医薬品ではないのに、サプリメントや健康食品に医薬品であるかのような効能を表示することは薬機法違反であるほか、それ以外の商品やサービスでも、一般消費者に品質や効果を誤認させるような表示をすることは禁じられています。消費者側もそのような商品に騙されないよう、自分は大丈夫だと思い込まない、コロナに効くなどと謳った商品はすべて怪しいと思ったほうがよいでしょう」

 新型コロナワクチンに期待したいところであるが、我々が今できる最大のコロナ対策は何かを苅部医師に聞いた。

「結局のところ、コロナ対策に有効なのは手洗いやうがい、換気、密を避けるということだけなのです」

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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