二重マスクでコロナウイルスを9割遮断との報告…不織布の上に布製を重ねると効果大
米疾病対策センター(CDC)はマスクに関する実験を行い、「不織布と布の二重マスクが、新型コロナウイルス感染予防効果が高い」と発表した。アメリカではジョー・バイデン大統領が二重マスクを実践しているが、その効果が実験によって実証されたのは初めてである。
長引くコロナ禍にあって、マスクの着用は日常化し、今やマナーのひとつとなっている。 マスク着用のもっとも大きな意義は咳エチケットであり、新型コロナウイルス感染症対策分科会は、咳や鼻水などの症状がある人が飛沫を飛散させることを防ぐために、不織布マスクを積極的に着用することを推奨している。また、健康な人も不織布マスクを使用することで机、ドアノブなどに付着したウイルスが手を介して口や鼻に直接触れることを防ぐため、ある程度は接触感染のリスクを減らすことが期待できる。さらに、ウイルス を含んだ飛沫、エアロゾルは不織布マスクのフィルターに、ある程度は捕捉される。
こういった効果から、コロナ禍におけるマスクの着用は非常に重要である。
マスクの構造は、メーカーによって違いがあり、隙間ができやすい箇所がそれぞれ異なる。ノーズフィッターが弱い、頬に隙間が空きやすい、ゴムの引きつけが弱い、プリーツの形状が悪いなど、さまざまな原因がある。こういった原因を解消する意味でも、二重マスクにすることで密閉度をアップできれば、より高い効果が期待できるだろう。
CDCは実験により、次のように発表している。
「布製や密着していない不織布マスク1枚では、空気中の微粒子(エアロゾル)の侵入を約40%遮断することができ、さらに医療用不織布マスクと布製マスクを二重にした場合、遮断率は92.5%に上がった」
しかし、それらの実験では、布の上に布、不織布の上に不織布、または布の上に不織布など、マスクのほかの組み合わせは検討されていない(ただし、CDCは医療用不織布マスクを重ねる2重マスクは密閉性の面から推奨しないとも呼びかけている)。ほかの組み合わせでも検証をする価値があるだろう。
河野太郎行政改革担当大臣などはメディアにも二重マスクで登場しており、その影響力で二重マスクを真似する人も多くいるようだ。二重マスクで注意すべき点は「隙間をつくらない」ことであるが、子供や疾患があるケースでは呼吸の妨げにならないよう配慮が必要である。
新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったものの世界的な感染拡大はいまだに続いており、マスクの着用が必須の生活は数年は続くとの見解もあるが、二重マスクにより終息へ一歩前進することを期待したい。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)