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パナソニック、2期連続巨額赤字の元凶と津賀改革の行方 中村路線との決別なるか?

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 それから、中村さんに反抗しないという意味で、能力のない人でも重用されるということもありましたね。例えば、責任者として三洋買収の交渉に当たったのは、秘書上がりの副社長といわれた森孝博さんです。秘書上がりの人には、会社のためではなくて、仕えている人のために働くという傾向があります。つまり、難しい交渉をしたことのない森さんが責任者として任されたのは、中村さんに忠実だったからですよ。

–大坪文雄前社長が後継者に津賀さんを選んだのは、「自分の言うことを聞くだろう」と考えたからだともいわれていますが。

立石 それは違うと思いま。パナソニックのOBはみんな株主ですよ。だから株主総会を乗り切るために、中村さん(当時会長)と大坪さんは連名で、「いろいろご批判があると思いますけれども、続投して頑張ります」とOBに手紙を出したわけです。でも、「ここまで業績を落としておいて、まだ社長や会長をやりたいのか」と大ひんしゅくを買いましたね。それで彼らは退いたわけです。だから、次の社長は、中村さんや大坪さんとは一線を画す人、つまり彼らに率直にものが言え、彼らの失敗を正せると期待できる人でなければ、誰も納得しませんね。

 実は、津賀さんは2011年春、パナソニックのAV機器部門を担っていたAVCネットワークス社の社長のときに、プラズマテレビ用パネルを生産していた尼崎工場を視察して、「プラズマは“戦艦大和”で、どうしようもない」と思わず口にしたそうですよ。そして、その後の取締役会で、約2000億円もの投資をして09年12月に竣工したばかりの尼崎第5工場の生産停止を求め、認めさせたわけです。さらに同第3工場の生産も中止させ、第4工場に生産を集約したわけですよ。中村さんの失敗だと思っていても、誰も口に出しては言えなかった。だから、取締役会という場で中村さんを面と向かって批判したという事実は、衝撃でしたね。

 そういう背景があるので、津賀さんはOBや社内からは支持されていると思います。ただ、それをうまく利用しきれていませんね。力に変えられていないと思いますよ。

●津賀社長vs.経営陣?

–津賀社長が現在取り組んでいる改革については、どのように評価されていますか?

立石 通常、パナソニックの社長は2月に決まり、それから3カ月くらいかけて経理部門の担当者から数字の説明を受けて、グループ全体を把握します。そして、その後に各事業部を回ります。事業部を回る目的のひとつは、優秀な人材を見つけて自分の部下にすることです。だから、新体制がスタートするのは6月の株主総会終了後になるわけです。

 でも、津賀社長の場合には、そういう準備期間が一切ありませんでした。つまり、全体像を把握できないうちに、場当たり的にさまざまな経営判断をせざるを得なかったわけです。かなりのハンデがあったということですね。

 もうひとつは、今年2月27日の役員人事では、全役員の留任が決まりました。役員は大幅に刷新され、「中村派が一掃される」という情報が流れていたので、パナソニックの社員やOBは、みんながっかりしたと思いますよ。今いる人たちは、全員中村さん時代、大坪さん時代の“遺物”ですよ。彼らがしっかりしなかったから、今の状況があるわけです。彼らにも責任があるわけです。責任を問われてしかるべき人がいて、うまくいくはずはありませんよね。中村さんがいまだに相談役でいるわけですから、彼らは「津賀社長の力が弱い」と知ったら面従腹背になるでしょうね。そして、津賀さんが失脚して、中村さんの思い入れのある人が社長になれば、彼らの地位は安泰になりますから。

 だから、本当に再建するつもりがあるならば、津賀社長が全権力を掌握して、自分のマネジメントチームを作るべきだと思います。しかし、彼の懐刀といわれ、今度の中期計画を立てた人物を取締役どころか執行役にもできなかったわけですね。津賀さんにハンデがあったという事実を差し引いても、自分の懐刀といわれる人を役員にできないということから推し量って、津賀さんは本当に「役員の人事権を持っているのか」ということが疑問ですね。津賀社長の評価が最近下がってきているのは、仕方のないことですね。

●パナソニック復活のカギとは?

–3月28日に発表した2015年度までの新中期経営計画では、BtoBを中心とした事業モデルへの転換を急ぐと発表しました。

BusinessJournal編集部

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