決算説明会で発表された資料を精査すると、同グループの「品目別売上高」というテーブルが目に留まった。前述した17年8月期の連結売上高7906億円のうち、「物品販売事業」でない「その他の事業」には135億円しか計上されていない。この数字から見ると、ビックカメラという企業は商品の量販流通業に邁進している、ブレのないグループだということがわかる。
さて「物品販売事業」の合計は7771億円に上るが、それらは4つのカテゴリーで報告されている。
音響映像商品 1269億円 (構成比16.3%)
家庭電化商品 2489億円 (32.0%)
情報通信機器 2452億円 (31.6%)
その他の商品 1560億円 (20.0%)
※上記は物品販売事業内の構成比
ビックカメラが販売している物品のなかで、すでに20%が家電ではないのである。「その他の商品」として報告されたのは次のような商品群だ。
ゲーム(※)
時計(※)
中古パソコン等(※)
スポーツ用品
玩具(※)
メガネ・コンタクト
酒類・飲食物
医薬品・日用雑貨(※)
その他(※)
<(※)の品目は売上100億円以上>
これらの商品群で最大の売上は「その他」で、467億円に達している。
店舗ブランドの組み込みと使い分けが肝要
本業だった家電商品の売上の減少傾向を補うべく、宮嶋社長は決算説明会で「家電製品でない商品を伸ばしていく」と意欲を示したのだが、実はそちらへの舵取りもやさしいことではなさそうなのだ。同社の連結決算で17年8月期の「その他の商品」は計1560億円の売上を計上したが、実は前年は1500億円だったので、4%の伸張を示したにすぎない。「その他の商品」カテゴリーが同社にとってまだ始動時のプロジェクトならともかく、すでに全事業の20%を占める主要カテゴリーとなっている段階でのこの成長度数では、大いにその先が思いやられる。
説明会で宮嶋社長は、「その他の商品」カテゴリーを伸ばしていくいくつかの戦略を述べた。
そのひとつが、11月からの専門店「ビックトイズ」の出店開始だ。玩具についてはすでに既存ビックカメラ16店舗で扱っているのだが、11月に専門店を愛知県日進市の商業施設にオープンするという。知育玩具など小学生以下の子供向けの商品を主に販売して、祖父母層の購買を狙うという。