岐阜県の県庁所在地で、人口約41万人の岐阜市について、筆者は以前から気になっていた。隣県・愛知県の県庁所在地で、中部経済圏の中核である名古屋市の影響を強く受けており、JR名古屋駅から岐阜駅までは快速電車で20分程度という近さだ。それもあってか、時に“名古屋以上に熱くなる”――。たとえば昔から、プロ野球・中日ドラゴンズの超熱狂的ファンは「名古屋市民よりも岐阜市民に多い」と一部でいわれていた。
今回、テーマとして取り上げる「喫茶店(カフェ)」についてもそうだ。朝の時間帯にコーヒーやドリンクを頼めば無料でトーストなどがつく「モーニングサービス」(モーニング)として、「名古屋モーニング」や「愛知モーニング」が知られるが、メニューの豪華さは「岐阜モーニング」も負けておらず、時に愛知をしのぐ。今回は、そんな当地の「喫茶事情」を探るため、岐阜市に足を運び、チェーン店と個人経営の店(個人店)の取り組みを取材した。
喫茶代を押し上げる「モーニング効果」
まずは、公的なデータを紹介しよう。定期的に調査結果が発表される「喫茶店におカネを使う都市」の最新結果では、岐阜市が名古屋市を大きく上回り1位に返り咲いた。
1位 岐阜市(岐阜県)=1万5018円
2位 名古屋市(愛知県)=1万2945円
3位 東京23区(東京都)=9307円
(総務省統計局「家計調査」における1世帯当たりの年間支出額。都道府県庁所在地・政令指定都市における平成26~28年の平均)。
ちなみに、前回調査のベスト3と金額は以下のとおりだ。
1位 名古屋市(愛知県)=1万4,301円
2位 岐阜市(岐阜県)=1万3,894円
3位 東京23区(東京都)=8,879円
(同、平成25~27年の平均)。
筆者は同調査を定点観測してきたが、東京23区はいつも3位で、岐阜と名古屋の両市が他の都市を大きく上回る。この金額を押し上げるのが「モーニング」だ。全国に約770店あり、愛知県に242店、岐阜県にも32店を展開する「コメダ珈琲店」の、もっとも繁盛する店舗では、モーニングの時間帯だけで、客席が4回転もする。