昨年末まで尾をひいた「相撲界の暴行事件」は、テレビでは必ず時間を割いて取り上げられていたが、今、インターネットの世界では日本発信の「#metoo」があふれています。前職の広告代理店の元上司からのセクハラ、パワハラを、人気ブロガーで作家の「はあちゅう」さんが実名で告発したからです。その元上司は有名クリエイターの男性で、彼はブログでハラスメントを認め、謝罪しています。
はあちゅうさんは、長時間労働、そしてパワハラ・セクハラで自死した電通の高橋まつりさん、そして強姦被害を実名告発しているジャーナリストの伊藤詩織さん、そして世界中の#metooの声に背中を押されたと語っています。
ネット上では「#metoo」があふれていますが、日本のテレビや新聞ではやっと年末から少しづつ報道が出てきたばかり。一方、#metooが広がるきっかけになった米ハリウッドでは、すでに次の動きが出てきています。芸能界で複数の女優などが有名プロデューサーを告発したことから始まり、政界にも飛び火した#metoo ですが、今は「被害者の訴訟費用の資金援助」をする基金に14億円以上も集まっています。こちらのハッシュタグは「#timesup(もう終わりにしよう)」で、ゴールデングローブ賞の授賞式では賛同者は黒い服を着る呼びかけがなされました。その声に応えて、女性は黒のドレス、男性も黒い服と#timesupのピンバッジをつけた姿で登場しました。
この動きを男性は怖いと思っているかもしれませんし、関係ないと思っているかもしれません。しかし男性だって、上司や先輩からハラスメントを受けていないでしょうか? タレント・エッセイストの小島慶子さんはバズフィードニュースでこう書いています。
「#MeTooキャンペーンは、性暴力やハラスメントへのNOです。腕力や立場の差を利用して性的な関係を強いたり、ハラスメントをすることは決して許されません。当然ながら、#MeToo は『反男性運動』ではありません。反暴力、反ハラスメントのキャンペーンです」
先日メディアで働く女性たちの忘年会に参加したところ、話題は#metooの嵐でした。怒りの告発ではなく、自分への反省。「今まで私も含めて仕事をする上で『笑って流してきたこと』が、いけなかったのでは?」といったものです。後進の女性たちの、もっとひどい被害につながっているのではという反省です。#metooは告発する人はもちろん、周りの人も自分の事として苦しみます。だからこそ、ただの中傷合戦で終ったら悲しすぎます。