私からお願いしたいのは「働き方改革」や「女性活躍推進」の項目のなかに「セクハラ・パワハラ対策」を入れてほしいということ。これは「安全安心な労働環境」には大事な要素です。今までは甘くみられていたことが、今は企業にとってリスクにつながります。
コンサルティングで有名なアクセンチュアは働き方改革の「プロジェクトプライド」のなかに、「長時間労働是正」などに加え「ハラスメント防止に向けた」項目を設置しています。改革前に「会社が信用できないから相談できない」という声があったことを受け、セクハラ・パワハラを通報する「社外窓口」を設けているそうです。改革を2年続けて、報告が上がってくるようになったということです。
外資系企業で当然の対応
今は米ウォールストリートでも、「セクハラ対策はどうしていますか?」という点が、報酬以外でも就職の条件として問われるそうです。ほかにも外資系企業で行われている対策を調べてみると、かなり厳しい内容でした。
(1)周知(研修などを必ず受ける)
(2)通報(人事部直通の通報ラインがある)
(3)監視(社内メールを監視。当事者が訴えなくても怪しいメールがあれば会社が介入する)
(4)入社時に「セクハラ・パワハラを行ったらクビ」という誓約書にサインをさせる。
(4)は意外でしたが、かなり効果があるかもしれません。
イノベーションを産む「生産性の高いチーム」に必要なものを、米グーグルは「心理的安全性」と結論づけています。セクハラ、パワハラなどのハラスメントがまかりとおる社内は、「心理的」どころか「身体的安全」さえ危ない。
「でもね、セクハラの境界がわからない。イケメンが言ったらセクハラじゃないんでしょう?ってお酒の席でいつも笑い話になるんですよね」と女性ですら困惑しています。
ある弁護士がこう言っています。
「『こんなにNGだらけではコミュニケーションがとれない』と感じた人もいるかもしれない。だが、基本的には「相手の人格を尊重する」ことに尽きる。わかりやすく言えば、相手を“社長の娘”だと思って話すことだ。社長の娘の人格を傷つけるようなことはできないのではないだろうか」(2015年7月15日付「PRESIDENT Online」記事『その発言大丈夫? セクハラ、パワハラ、マタハラ……2015年、上司の禁句集』<弁護士・笹山尚人氏>より)