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このようにリストラ策を中心にして構造改革を行う方針だが、肝心の成長戦略に関しては内容が乏しいものとなった。柱のひとつとして法人営業を挙げ、今年度の売上高の見込みを17年度比68%増の90億円としているが、具体的な根拠は示されていない。20年の東京五輪に向けたホテル需要を挙げているが、それほどの需要があるとは思えないし、あったとしても特需的な側面が強いため業績への貢献は一時的なものにすぎないだろう。
具体的な成長戦略が見えないなかでリストラばかりが先行していては、社員の士気は上がらない。大塚氏が社長に復帰したのは15年1月だが、その後の人員数(役員やパートなどを除く)は減少し続けている。15年度末は1744名で、それまで増加傾向を示していたが、16年度末には前年度より82名少ない1662名になった。さらに17年度末は173名少ない1489名にまで減っている。
従業員の士気が上がらなければ、業績回復もおぼつかない。接客要員に関していえば、士気の衰えが接客力の低下につながってしまう。接客力が落ちれば売り上げは上がらない。そしてさらなる業績悪化で追加のリストラを招いてしまう。具体的な成長戦略を描くことができなければ、この悪循環から抜け出すことはできないだろう。
今回の決算では、具体的な成長戦略を示せず不安要素ばかりが目立った。資金ショートが懸念されているいま、大塚家具に残された時間は少ない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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