2018年の新規株式公開(IPO)が始まった。18年のIPOは、「多くて84~85社。17年の90社には及ばない」(新興市場に詳しいアナリスト)とみられている。東京証券取引所が上場審査により慎重になっていることから、小粒な“スレスレ案件”が減ると予測されているのだ。
相変わらず、内需型のサービス業や小売業が中心だが、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)がらみのスタートアップ企業のIPOが増えつつある。これが18年の特色だろう。
野村證券のように「90~100社が新規上場」といった強気の見方も、ないわけではない。しかし、「小さな企業より、基盤が固まっている企業を、しっかり上場させたい」という証券界の気運が高まっている。
今年のIPO第1号となったのは、業務用食材などのEC(電子商取引)サイトを運営するMマート。2月23日に東証マザーズに上場した。上場初日は買い気配のままで、取引が成立しなかった。気配は公募・売り出し価格(1240円)の2.3倍となる2852円まで上昇した。
土日をはさんで26日、上場2日目に公開価格の4.34倍の5380円で初値を付け、高値は6200円だった。さらに27日には6970円まで上昇し、「上々の滑り出し」(大手証券)だった。Mマートの村橋孝嶺社長は「上場で信用力を高め、優秀な人材を確保したい」と、記者会見で語った。28日は5790円(70円安)となり、高値から1000円以上下げた。
USJやJR貨物の上場に関心集まる
18年のIPOの目玉は、ITや通信関連となる。
最大の案件になりそうなのが、ソフトバンクグループの携帯事業子会社であるソフトバンクだ。東証1部に直接上場することになる見通しで、ソフトバンクが3割程度の株式を売り出すとみられ、資金調達額は2兆円規模と取り沙汰されている。2兆円となれば、17年のIPO90社が調達した総額の3倍を超える。
フリーマーケットアプリのメルカリは「6月の上場を目指している」(大手証券会社)といわれている。だが、メルカリのビジネスモデルは功罪相半ばするため、審査は長引く可能性があるとの指摘もある。