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ソフトバンク、孫正義「一神教」経営に広がる不安

文=編集部
ソフトバンク、孫正義「一神教」経営に広がる不安の画像1ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長(ロイター/アフロ)

 社長交代を発表した日本電産の株価が2月16日、一時3.5%(580円)安となった。日経平均株価が255円高と上昇したなかでの“逆行安”だ。

 名経営者といわれている永守重信会長兼社長が6月20日付で、日産自動車出身の吉本浩之副社長に社長の椅子をバトンタッチすることになったため、“永守プレミアム”が剥落した。

 永守氏は引き続き会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるため、日本電産の経営体制がすぐに変わるわけではないが、マーケットは吉本・新社長の手腕を瀬踏みする姿勢を鮮明にした。

 日本電産の有価証券報告書には、「永守重信への依存に係るリスク」として、「突然の離脱があった場合、(中略)事業、経営成績、財務状態に悪影響を及ぼす可能性がある」と明記されている。

 永守氏は、「後継のレールをしっかり敷いた」と考えていたはずだが、株式市場は社長交代をマイナス材料として受け止めたのだ。

ソフトバンク、信越化学にも同じ悩み

 ソフトバンクグループは孫正義会長兼社長の“一神教”のような会社である。孫氏が21.0%の株式を保有し、断トツの筆頭株主である。グループ企業もヤフー、ソフトバンク・テクノロジーが上場している。携帯電話子会社のソフトバンクについても、年内に東証1部上場を目指している。

 日本電産は永守氏が8.2%の株式を保有する筆頭株主だが、ソフトバンクGと孫氏の関係に比べれば、カリスマ経営者への依存度はまだ低いほうだ。それでも、日本電産の株価は急落した。

 ソフトバンクGの場合、もし、孫氏が“不在”になったら、株価にどのような影響が出るのか推測不能である。

 その上、ソフトバンクGには現時点で“ポスト孫正義”が存在しないだけに、カリスマ依存のリスクは、日本電産よりもはるかに高いはずだ。

 ソフトバンクGとまったく同じケースなのが、ユニクロを展開するファーストリテイリングだ。

 柳井正会長兼社長は、ファストリ株式21.6%を保有しており、2人の息子も大株主(いずれも4.5%を保有)。2人の息子のどちらかに経営をバトンタッチするという道筋が整っているわけでもない。

 ファストリは株価が4万円を大きく超え、1月18日には5万1580円の高値をつけている超値がさ株だ。株価水準からみても、カリスマ依存リスクはかなり高いというのが、アナリストの共通認識である。

 塩化ビニール樹脂、半導体シリコンウエハーで世界首位の信越化学工業は、金川千尋会長のワンマン会社である。株価も1万円を突破し、1月29日に1万3175円の上場来高値をつけている。金川氏は1975年から取締役。社長を経て会長になっており、今年3月15日で92歳になる。

 東証1部上場企業の信越ポリマーは、信越化学工業が52%の株式を保有する子会社だ。

 金川氏は創業者ではない“サラリーマン経営者”だが、間違いなく信越化学のカリスマだ。もしもの場合、株価への影響は避けられないだろう。

BusinessJournal編集部

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