小学生でも大学入試改革問題が解けてしまう!?
2018年の東京都の都立中高一貫校の平均受検倍率は5.61倍だった。いくら塾で対策したとしても、その何倍もの大量の受検生が不合格になっている事実は疑いようがない。都立中高一貫校の適性検査は2月3日に一斉に実施される。つまり1校しか受検できない。
一般的な私立中高一貫校受検よりも負担が軽いとはいっても、それなりの期間にわたって遊びたいのを我慢して勉強したのに、それが水の泡になるとしたらやるせない。それでもチャレンジする意味はあるのか。都立中高一貫校対策を得意とする学習塾enaの池田清一さんはこう言う。
「小学生のときに適性検査対策をしてきた子供たちと中2くらいから入塾してきた子供たちとでは、勉強に対する態度が天と地ほどに違う。しかも都立高校の推薦入試では適性検査にそっくりな問題が出ます。そうすると、都立中学校には落ちたとしても、高校受験ではそこよりもレベルの高い学校に入れることも多いんです。都立中学受検でたくさんの生徒がenaに集まって、その結果惜しくも合格を逃した生徒も多く残ってしまった場合、彼らが3年後、高校受験ですさまじい結果を出すんです。すでに西東京ではそういう構造になっています」
「絶対に合格できるとは申し上げられません。都立中学校の入試は私立とは比べものにならない高倍率です。enaで対策しても合格できるのは3人から4人に1人です。それでも私は、いま勉強する価値があると思っています。私がこんな仮定を口にするのもおかしな話ですが、仮に都立中学校に不合格になっても、それは『負け』だとは思わないんです。いましている勉強は決して無駄にはなりません。いまこの勉強をしておけば、仮に地元の中学校に進学することになったとしても、中学生になってからの学習態度がまるで変わりますから」
わが子の成績に不安を感じている保護者への励ましだ。あとでY 先生が私に補足する。
「適性検査対策は、知識を詰め込むだけ詰め込んで、試験が終わったら忘れてしまうというような勉強ではありません。一度身に付けたら忘れることのない深みのある勉強です。それは高校受験にも活かせる学力です。適性検査対策の勉強は、受検するしないにかかわらず、本来であればすべての小学生が学ぶべき内容だと思います」