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このような流れができた背景としては、もちろん大学入試改革に向けての動きがある。さらに大きな視野で言えば、21世紀型の学力と呼ばれる「新学力観」への社会的関心がある。その方向性に公立中高一貫校の適性検査が一致しており、公立中高一貫校の出現が、私学の危機感を煽る一方で潜在的な中学受験者層を掘り起こしたのである。
ただし私立中高一貫校に6年間通うと、小さなベンツが買えるほどの額になるとよくいわれる。そこで私立中高一貫校も考える。「特待生」の制度を設けるのだ。優秀な生徒が来てくれて、6年後に高い大学進学実績を出してくれるのなら、授業料を免除してもいいということだ。特待生にもさまざまな種類があり、特待生の資格を得たからといって6年間の授業料がすべて不要になるわけではないが、大幅に負担は減らせる。金銭面の理由から、もともとは公立中高一貫校しか考えていなかった家庭でも、選択肢は増える。
さらに東京都においては、すでに私立高校の実質無償化(収入制限あり)が始まっている。中学校の3年間を「特待生」として過ごし、高校では都の助成金制度を利用すれば、金銭的負担は実質的に公立中高一貫校に通うのと変わらない。
要するに、公立中高一貫校受検対策をすることで、3つの選択肢が得られるようになる。ひとつは公立中高一貫校への進学。もうひとつは私立中高一貫校への進学。そして地元の中学校に進学して、適性検査対策の経験を活かして高校受験で難関都立高校に進学するという選択。
12歳での努力は決して裏切らないのだ。
(文=おおたとしまさ/教育ジャーナリスト)
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