「かぼちゃの馬車」セミナーを開催していたスルガ銀行横浜東口支店は、何度も表彰されてきた。「頭金なしで投資でき、30年間家賃収入を保証」をセールストークに使い会社員らを勧誘し、スルガ銀行から1億円単位の融資を引き出してオーナーへと“変身”させてきた。
オーナーはシェアハウスの物件購入資金を融資するスルガ銀行の行員から、高利のフリーローンの契約を同時に求められていたという。実質的にフリーローンの契約が融資の条件となっていたことになる。多くの事例では、高利のフリーローンで借りた金を、超低利のスルガ銀行の定期預金や積立預金に預けさせられていた。この振り替えも「半ば強制だった」という複数のオーナーの証言もある。このスルガ銀行の手法は、いわば銀行の“常道”だが、胸を張って堂々と行う銀行業務からはほど遠い。金融庁は厳格にチェックすべきだろう。
物件融資の契約をする直前に突然、フリーローンの申し込みを迫られ、「借りてもらわないと(融資契約が)前に進まない」と言われたオーナーもいる。高利のフリーローンで借りた金を低金利の定期預金にすれば、オーナーは損する。その分、スルガ銀行が利ザヤを稼ぐことになる。“濡れ手で粟”の仕組みだ。
スルガ銀行は、かぼちゃの馬車のオーナーに融資したのと同じように、投資用不動産の購入資金を用立てる個人向けローンに傾斜し、地銀屈指の収益を確保してきたことが、今回の“事件”の背景にある。個人向けローンの融資先は7割が首都圏で、かぼちゃの馬車関連融資も首都圏が主だ。
かぼちゃの馬車が暴走する以前には、スルガ銀行は2018年3月期にコア業務純益を650億円計上するとしてきた。規模では地銀の20位以下だが、収益力ではトップクラス。地銀の雄といわれる横浜銀行を追いかけるほどの“高収益バンク”なのだ。だが、このコア業務純益の確保はおぼつかない。