スルガ銀行の融資実態は
会員制情報誌「選択」(選択出版/3月号)は、『地方金融の研究』との記事でスルガ銀行を取り上げた。「訳あり融資で荒稼ぎの『高利貸し』」との副題をつけた2ページにわたる記事は、「地銀の皮を着た『高利貸し』。金融界からそんな皮肉が聞こえてくる」で締めくくられている。
「融資審査は適正に行っており、これまでのところ行員が不正に関わった形跡はない」というのがスルガ銀行の公式の見解だ。
しかし、融資を受ける際に提出する銀行の通帳や証券会社の株式資産リストの数字が、“水増し”されていた疑惑が浮上している。数百万円しか預金がないのに、ゼロがひとつ加えられていたといったケースが次々と明らかになっている。地銀の関係者からは、「こんな単純な手口にスルガ銀行の行員は騙されたのか。スルガ銀行のバンカーの目は節穴か」(有力地銀の頭取)といった冷ややかな声が挙がる。
スルガ銀行は、朝日新聞の取材に「個別事案の回答は差し控える。金融庁には適宜情報提供をしている」と回答した。スルガ銀行は2月22日、「報道等を受け、実態把握のための調査を開始した」としているが、横浜東口支店ぐるみの荒稼ぎと見られても仕方がないような実態に、本当に気付いていなかったのだろうか。
高利のフリーローンを繰り上げ返済しようとしたオーナーが、受け取りを渋られたケースもある。ここまでくると完全にルール違反だ。スルガ銀行は他行がやらない、「先にリスクを取って貸し出す」という独自のビジネスモデルで高い収益を保ってきたが、実態はリスクを取っていないのではないか。借り手(かぼちゃの馬車のオーナー)にリスクを押し付け、高い収益を上げていたということになりはしないか。
自己資金や給料などの提出書類を偽造までして、フルローンやオーバーローンの融資を受けていた会社員などが多くいるようだ。一説には、推定1000人にも上るともいわれている。
「(かぼちゃの馬車を運営している)スマートデイズに1棟貸しをしているオーナーのなかには、本当の稼働状況などをきちんと説明を受けていない人もいるようだ」(関係者)
サブリース契約を解約すると入居者が1人もいなくなるといったケースは、他社の「1棟借り上げ」でも起こっている。とはいえ、かぼちゃの馬車は、もっと深刻だ。稼働率ゼロになり、毎月の返済だけが続く。それでも、スルガ銀行横浜東口支店は融資した責任は無視し続けるのだろうか。
融資の実態調査が終わるまで返済は猶予されることになったようだが、未来永劫にわたって返済不要になるわけではない。
(文=編集部)