検察、安倍内閣総辞職も視野に捜査か…佐川氏、全責任押し付けられ逮捕との見方も
国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
3月12日、学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる問題で、財務省が公文書を書き換えていたことを発表しました。「決裁文書についての調査の結果」によると、書き換えは財務省理財局において2017年2月下旬から4月にかけて14の文書で行われています。
これらの文書は、起案日と決裁完了日、文書の通し番号が同じで、決裁印もあるそうです。これは「公文書偽造」という犯罪で、安倍晋三政権の危機に直結する事態のはずですが、なぜか国会は危機感が薄いです。
財務省の発表後も本会議の開催予定はなく、地元に帰っている国会議員も多いので、私たち秘書は“開店休業”状態です。一方で、この件のせいで審議されていない法案も多く、官僚たちも頭を抱えています。
「佐川の逮捕は免れないだろう」
3月7日に亡くなった財務省近畿財務局職員のAさんが「本省(財務省)の指示で文書を書き換えさせられた」という内容のメモを残していたことが、13日の読売新聞で報じられました。これは、関係者への取材で明らかになったとのことです。
Aさんの訃報で国会は荒れ、その後は衆議院本会議が開かれるめどはまったく立っていません。決裁文書の書き換えは明確な犯罪ですし、尊い命を守ることができなかった財務省の責任は非常に重大です。
国会周辺では「当時の理財局長だった佐川(宣寿前国税庁長官)の逮捕は免れないだろう」ともささやかれています。これは、大阪地方検察庁が本腰を入れている証拠でもあります。大阪地検特別捜査部は、麻生太郎財務大臣はもちろん、安倍内閣の総辞職まで視野に入れて動いているといわれています。
今のところ、与党内では「そこまではいかないだろう」という見方が大半ですが、今後の世論の動きによっては微妙な気配も漂っています。
森友学園の問題は、与党内では「役人たちが勝手に忖度しすぎて、無茶な契約をしてしまった」と思われていました。しかし、勝手に忖度しすぎていたとしても、このきわめて特例的な契約には問題があります。そこを、財務省は「問題はありませんでした」で無理矢理押し通そうとしている――与党は、そう信じていたのです。
しかし、実際は決裁後の文書を書き換えるという犯罪行為が行われていたのですから、その前提は大きく変わってきます。さすがに与党からも真相究明を望む声が上がっていますが、「さっさと佐川に責任を取らせて幕引きにして、日切れ法案を早く審議してくれよ」というのが本音でしょう。
「ポスト安倍」「安倍降ろし」といった声は参議院自民党と元参議院議員の方たちに多いようですが、本格的ではないように思います。秘書仲間の間でも「まだ、安倍さんが降りるときじゃないよね。安倍さんがすごくいいわけでもないけどさ……」という意見が圧倒的に多いです。
そんななか、自民党は13日夜に次々と理事懇談会を開き、複数の委員会をセッティングし、野党不在の状態で日切れ法案の審議を始めました。この強硬な姿勢は悪いほうにしか転がらないと思いますが、議員たちは本当に世論をわかっていないのでしょう。一方の野党も、審議拒否ではなく、法案審議と改ざん問題は切り離して、議員としての職務をまっとうすべきだと思います。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。