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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

今年の猛暑、家計支出を最大約7千億円押し上げる可能性…日本経済に想定外のリスクも

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

 さらに、猛暑による飲料の消費拡大効果で、広告代理店の受注も増加しやすい。缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカー、原材料となるアルミニウム圧延メーカー、それを包装する段ボールメーカーなどへの影響も目立つ。

 さらには、ファミレスなどの外食、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増える宅配関連なども、猛暑で業績が上がったことがある。一方、食料品関連やガス関連、テーマパーク関連、衣類関連などの業績には、過去に猛暑がマイナスに作用した経験が観測される。

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7-9月期の平均気温+1℃上昇で家計消費が+2900億円

 そこで、過去の気象の変化が家計消費全体にどのような影響を及ぼしたのかを見てみよう。内閣府「国民経済計算」を用いて、7-9月期の実質家計消費の前年比と東京・大阪の平均気温や日照時間との前年差の関係を見た(資料3)。すると、両者の関係は驚くほど連動性があり、7-9月期は気温上昇や日照時間が増加したときに、実質家計消費が増加するケースが多いことがわかる。

 したがって、単純に7-9月期の家計消費と気温や日照時間の関係だけを見れば、猛暑は家計消費全体にとっては押し上げ要因として作用することが示唆される。

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 ただし、家計消費は所得や過去の消費などの要因にも大きく左右される。そこで、国民経済計算のデータを用いて、気象要因も含んだ7-9月期の家計消費関数を推計してみた。すると、7-9月期の日照時間や平均気温が同時期の実質家計消費に統計的に有意な影響を及ぼす関係が認められる(資料4)。そして、過去の関係から読み解くと、7-9月期の日照時間が+10%増加すると、同時期の家計消費支出が+0.39%程度押し上げられることになる。これを気温に換算すれば、7-9月期の平均気温が+1℃上昇すると、同時期の日照時間が+12.4%増加する関係があることから、家計消費支出を約+2884億円(+0.49%)程度押し上げることになる。

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永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。
第一生命経済研究所の公式サイトより

Twitter:@zubizac

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