「近年、サバそのものがブームとなっていたことも背景にあります。サバで町おこしを行う自治体の出現や、サバを使ったサンドイッチのような洋食風サバ料理ブームなどさまざまな要素がありますが、特に大きいのが、大阪など関西圏のサバ料理専門店が東京に進出したことと、養殖サバ人気です。
実は関東圏と関西圏では、異なるサバの食文化がありました。というのも、サバには食中毒を引き起こすアニサキスという寄生虫が寄生しているため、関東圏では生で食べることがほとんどありません。しかし、関西圏のサバの場合、内臓に留まり、身の部分に寄生することがほとんどない種のアニサキスが非常に多いのです。そのため、サバの安全性が比較的高い関西圏では、サバを生で食べる文化が根付いていました。その生食文化が関西圏のサバ料理専門店とともに進出し、サバの刺身などが関東圏で人気を博すようになったのです。
また、こうしたサバの生食需要の高まりによって、アニサキスの危険性が限りなく低い養殖サバの人気も高まりました。鳥取県で養殖される、悪い虫(寄生虫)がつかない『お嬢サバ』や、福井県で養殖される、酒粕を混ぜた餌で育てられる『鯖街道よっぱらいサバ』など、ユニークな養殖サバも増加しています。こういった養殖の話題もメディアに取り上げられる機会が増え、それに伴いサバの健康効果にも注目が集まるようになったため、ますます人気が高まってきたのです。
さらに、これまで関西圏ではサバ缶があまり食べられていなかったのですが、第1次サバ缶ブームによって関西圏でも食べられるようになった、という理由もあります。以上のような事象がすべて集結した結果、空前のサバ缶ブームが巻き起こった、というわけです」(同)
今知っておきたい変わり種サバ缶
サバ缶が注目を集める理由の一つとして、健康効果の高さがある。サバに含まれる栄養素、またサバ缶だからこそ摂れる栄養素とは、一体どのようなものがあるのだろうか。
「サバにはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった栄養素が豊富に含まれています。脳を活性化させる作用を持つDHAは、頭がよくなる物質という説もあります。EPAは血液をサラサラにしたり、中性脂肪値を下げる作用があるため、心臓病や動脈硬化を防ぐ効果があるともいわれています。
サバ缶ならではのメリットとしては、普通なら廃棄されてしまう皮や骨が一緒に含まれているため、生のサバより栄養効果が高いことが挙げられます。特にカルシウム量が非常に高く、生のサバと比較すると、約43倍ものカルシウムが含有されています」(同)
ここでサバジェンヌとして活躍する池田氏に、多種多様なサバ缶のなかからオススメの品を教えてもらった。