近年、かつてないサバ缶ブームが巻き起こっている。
魚の缶詰といえばツナ缶をイメージする方が多いかもしれないが、生産量は2016年に、売上高は2017年にサバ缶がツナ缶を抜く快挙を記録している。大手水産加工食品メーカーのマルハニチロでは、ロングセラーのサバ缶「月花」シリーズの17年10月から半年間の売上が、前年同期比で157%に増加しているとのこと。最早サバ缶の生産が追いついておらず、全国の販売店ではサバ缶の品薄状態が続いているという。
また、サバ缶といえば水煮や味噌煮を思い浮かべるかもしれないが、オリーブオイル漬けやマリネ風、西京焼きなど、今では多種多様なバリエーション展開がなされている。現在のサバ缶は、まさに脂の乗った状態なのだ。
なぜサバ缶の人気がここまで高まっているのだろうか。全日本さば連合会の広報担当であり、「サバジェンヌ」の名で活躍する薬膳アテンダントの池田陽子氏に話を聞いた。
「女性人気」「サバ人気」などが重なり、巨大なブームが発生した
どうしてサバ缶がここまで巨大なブームになったのだろうか。そのいきさつについて、池田氏はこう語る。
「現在のサバ缶ブームが起きた理由として、まずひとつ、女性の間でサバ缶人気が広まったことが挙げられます。もともとサバ缶といえば男性からの人気が圧倒的に高かったのですが、2013年、あるテレビ番組で『サバ缶を食べると、痩せるホルモンGLP-1の分泌が促進されるためダイエットに効果的』と紹介されたことで女性の関心が高まり、第1次的なサバ缶ブームが起きました。そして女性という新たな顧客層が生まれたことを受けたメーカー側では、アヒージョ風やハーブ味といったさまざな種類のサバ缶を生産し始め、2016年にはサバ缶がツナ缶の生産量を追い越す結果となりました。それによってメディアで再びサバ缶が取り上げられるようになり、サバ缶人気がさらに加速した、というわけです」(池田氏)
確かにサバ缶といえば、酒の肴というイメージが強い。女性の心を掴んだことでサバ缶人気が上昇したわけだが、その他にも理由があると池田氏は続ける。