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日本電産、昨年社長退任の永守氏の復帰説くすぶる…次々と去った後継者候補たち

文=編集部

 永守氏がM&A(合併・買収)など中長期の成長戦略を担当する一方で、各事業部や世界のグローバル各社の採算改善などは吉本氏が担当する。

 自動車、ロボット、省エネ家電、ドローンなど4つの技術トレンドを核に、売上高を2021年3月期に2兆円、31年3月期に10兆円に拡大する目標を掲げる。

 当初、吉本氏の社長初年度にあたる2019年3月期の連結決算(国際会計基準)の売上高は前期比7.5%増の1兆6000億円、営業利益は同16.9%増の1950億円、当期利益は同12.4%増の1470億円の見通しだったが、1月17日、純利益が18年3月期比で14%減の1120億円になると下方修正した。350億円の減額で、増益予想から一転して減益となる。中国の景気減速の直撃を受けたほか、工場の統廃合などの構造改革に伴い、240億円の費用を計上する。永守氏は「46年間経営をやってきて(昨年の11月、12月のように)月単位でこんなに落ち込んだのは初めてだ」と述べた。

 売上高は3%減の1兆4500億円と、従来予想から1500億円引き下げた。営業利益は13%減の1450億円。従来予想を500億円下方修正した。日本電産の減収は10年3月期以来9年ぶり。最終減益は13年3月期以来6年ぶりとなる。

中国での生産体制見直しへ

 21年3月期の売上高2兆円が直近のターゲットとしてきたが、19年3月期決算が減収減益となることから軌道修正が必要となろう。

 中国でEVに使うモーターの新工場を建設中。第1弾として中国の広州汽車集団系のEVメーカーに採用され、今後、現地の大手自動車メーカーに供給する計画だった。

 ところが、米中貿易戦争が一段とエスカレートし、戦略の変更を余儀なくされた。経済メディアのインタビューに応じた吉本社長が明らかにしたところによると、EVの駆動用に使うモーターの工場を、20年をメドに世界3極体制にするという。建設中の中国工場のほか、ポーランドとメキシコでも生産を開始する。設備投資額は総額1500億円程度を毎年継続し、駆動用モーターの売上高を23年3月期に1000億円、26年同期に2000億円に拡大し、主力事業に育てる、という強気の計画を立てていた。

 米中貿易戦争による関税の増加に対処するため、中国から米国に出荷していた家電や車の部品の一部をメキシコ工場からの出荷に切り替えたほか、発電機などに使う大型モーターについては欧州工場から米国に出荷する体制を整えたという。対応は早かったが、トランプ米大統領の米国第一主義に振り回された格好だ。中国での販売失速が大きなダメージとなった。

 21年3月期の決算が、吉本合議体制の重要な勤務評定となる。永守氏は、これまでにも幾度となく後継者と目される人物をスカウトしてきたが、「ダメな会社を再生させる経営力」をアピールできずに日本電産を去っていった。

 次は、永守氏との役割分担を、3割から7割に引き上げること。吉本氏がこれをクリアすれば、名実ともに日本電産のトップになる。これが順当な見方かもしれない。

 少し気が早いかもしれないが、21年3月期の決算次第だ。吉本氏が「社長兼CEO」になれるのか、それとも永守氏が社長兼CEOに復帰するかの究極の選択となるかもしれない。「永守氏の社長復帰の可能性は3割ではなく、7割に近いかもしれない」(日本電産の役員OB)との見方もある。

 というのも、日本電産を取り巻く政治・経済環境は時々刻々と厳しさを増しているからだ。それは、1月4日の大発会で昨年来安値を更新、1万1565円をつけたように、株価の下落が19年3月期の減収減益を先取りしていた。ちなみに、高値は昨年1月25日の1万8525円。

 減収・減益決算の発表を受けて1月18日に一時、1万1405円まで下げ、昨年来安値をさらに更新した。
(文=編集部)

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