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三菱UFJ、7千億円の巨額買収、生き残りかけた大勝負…金融の主役陥落、銀行の危機感

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 しかし、国内の資金需要が高まらない(お金を借りたい人が増えない)と、この発想は行き詰まる。特に、2013年4月に日本銀行が異次元の金融緩和策を発動したマグニチュードは大きかった。これは、もともと低かった金利を、さらに押し下げた。さらに悪いことに、日銀の金融政策は短期と長期の金利差を縮小させた。これは銀行にとって致命的だ。本来、期間に応じて貸し出しのリスクは高くなる。貸し出す期間が長くなればなるほど、経営環境やその企業の信用力の不確実性が高まるからだ。日銀の金融政策は、銀行の金融仲介機能を低下させたといえる。

 もう一つの要因が、銀行が新規参入の脅威に直面していることだ。スマートフォンを用いた代金の支払い手段であるモバイル決済など、フィンテックのマグニチュードはすさまじい。中国のIT大手アリババの金融ビジネスを見ていると、もはや銀行は金融ビジネスの主役ではなくなっているとさえいえる。

 収益の減少と異業種からの金融ビジネス参入によって、社会全体で金融仲介と資金決済を支えてきた銀行の存在意義そのものが揺らいでいる。その結果、多くの銀行が今後の経営に危機感を抱いている。

海外での収益獲得を目指すMUFG

 
 わが国の銀行がこの変化に対応するには、事業運営の効率性を高めることと、収益を増やすことが必要だ。MUFGは支店の統廃合や三井住友銀行とのATM相互開放などを通して事業運営にかかる経費を抑えようとしている。

 収益を増やすためには、期待収益率の高い分野に進出しなければならない。MUFGは経済成長期待の高いタイやインドネシアにおいて現地の銀行を買収し、商業銀行ビジネスを中心に競争力をつけてきた。それに加え、MUFGは海外のプロジェクトファイナンスなどの分野も重視している。そのために、同グループは収益力の強化に必要な事業を他の金融機関などから取得する“カーブアウト型”の買収にも取り組んできた。

 今回の買収の背景には、DVBバンクの海運事業の悪化を受け、親会社であるDZバンクが関連資産の売却を進めてきたことがある。MUFGにとって、航空機ファイナンス事業は魅力的な分野といえる。なぜなら、その期待収益率が高いからだ。

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