データベースの分野で世界のトップ企業を顧客に持つ日本オラクルが5月8日、次世代クラウド・データセンターを東京に開設したことを発表した。また、6カ月以内に大阪リージョンも開設する。世界中の高速・大容量ネットワークと接続し、日本のユーザーの基幹システムのクラウド移行を推進することで、日本のクラウド市場で攻勢を強めていく構えだ。
同日に行われた記者会見で、同社執行役社長兼最高経営責任者のフランク・オーバーマイヤー氏は「日本国内にリージョンが開設された今、日本のユーザーがこれらの強力なテクノロジーを利用することで、さらに大きなメリットを享受することができる」と語った。
日本オラクルが実現するのは、次世代のクラウド・インフラストラクチャ「Generation 2 Cloud」(以下、「Gen 2 Cloud」)だ。これは「先進的なリージョン」「物理ネットワークパフォーマンス」「オフ・ボックスの仮想化」「ExadataとReal Application Clusters(RAC)」「エンド・ツー・エンド・セキュリティ」を核とする。
同社執行役員クラウドプラットフォーム戦略統括の竹爪慎治氏は会見で「『Gen 2 Cloud』は、今までパブリック・クラウドにのせられなかった基幹システムの移行を低コストで実現する」「エンタープライズレベルへの拡張が可能なのはオラクルならでは」と語った。
会見後、竹爪氏への単独取材で東京リージョン開設の意義や日本オラクルのクラウド戦略などについて聞いた。
クラウドは重要な社会インフラへ
――あらためて、東京リージョン開設の意義について教えてください。
竹爪慎治氏(以下、竹爪) 大きなポイントは3つです。まずは、「日本国内にデータセンターがあり、専用線を接続することができる」ということ。我々の顧客である大手企業は基幹系システムを導入していることが多いですが、「クラウドは柔軟性があって、初期コストも低く、新規事業にもすぐ対応できますよ」と提案したとしても、そもそも扱っているデータやシステムの性能、セキュリティ要件などが厳しく、「国内にデータセンターがないと導入は難しい」との意見もありました。そのため、国内のデータセンター設置と専用線の接続は必須条件であり、今回の開設は歓迎されています。
次に「基幹ワークロードを稼働できる安定性」の確保です。次世代の「Gen 2 Cloud」は、従来はクラウドで稼働できなかったシステム要件にも対応し、システムの利用増減に柔軟に対応できる拡張性に加え、より高いセキュリティ、高い可用性を低コストで提供しています。さらに、高い技術力を持ったスタッフを擁することで、東京リージョンの開設を実現しました。
3つ目は「新規ユーザーの獲得」です。業界初の自律型データベースである「Oracle Autonomous Database」により、完全な自動化をすべてのデータベース管理サイクルで実現し、データマネジメントのあり方を変えようとしています。顧客にとっては、より安く、より簡単に最新のクラウドモデルへ変革することができます。