2021年12月、楽天モバイルのiPhoneユーザーにおいて「Rakuten Link」(楽天モバイルの通話アプリ)の着信障害が多発し、総務省が原因追及を求める事態になった。私は楽天モバイルのアンドロイドユーザーだが、同じようなトラブルの当事者でもあり、楽天のサポート各所に相談したがたらい回しに終わった、という記事を以前掲載した。
『「楽天モバイルのiPhoneで着信できない」問題、問い合わせたら丸1日たらい回し』
今回は、その続編になる。ほぼ絶望視していたこのトラブルが、あることで解消したからだ。何をしたのか、余さずお伝えしたい。このトラブルで悩んでいる方の、お役に立てれば幸いだ。
トラブルの状況:Rakuten Linkは着信が鳴らず、通常の電話アプリは発信できない
私のトラブルの概要は「Rakuten Linkにおいて、着信が鳴ることもあるが、鳴らないこともある」というものだ。「100%鳴らない」ならまだ理解できるところもあるが、鳴ったり鳴らなかったりするため、よけいにわけがわからない。鳴らなくてもバイブが動けばいいのだが、それも動作したりしなかったりする。
さらに私の場合、「通常の電話アプリ(Rakuten Linkでない、スマートフォンにもともと入っている電話アプリ)からは、常に発信ができない」状況だった。テストのため時報に何度も発信してみたのだが、「トゥルルルルル」という呼び出し音すら鳴らず切れてしまう。Rakuten Linkを使えば発信はできるため利用において不便はないものの、「おかしい」状況ではある。
SNSなどを見ると、私同様、アンドロイドユーザーでもRakuten Linkの着信に不備がある、と訴えている人は複数見かける。また、私のように「Rakuten Linkに不具合があるうえに、通常の電話アプリから発信ができない」と訴えている人も多少見かけた。
これをしたら、あっさり解決
肝心の何をやったら解決したかだが、それは「SIMカードの交換」だ。
スマートフォンのトラブルがややこしいのは、以下の要因が混在しているからだろう。
①アプリのトラブル(アプリ会社起因)
②スマートフォンの通信品質のトラブル(携帯電話会社起因)
③スマートフォンの機器としてのトラブル(メーカー起因)
私のケースではSIMカードを交換したところ直ったため、②の通信品質の問題だった可能性が高い。
SIMカード交換時の注意点
このSIMカードの交換、正直やる前はほとんど期待していなかったし、特にサポートから推奨された方法でもない。ただ、楽天モバイルのサポートに問い合わせたときに「たらい回しの末、解消しない」という憂き目に遭い、SIMカードの交換はアプリからサポート窓口を通さずに申し込め、かつタダでできたために「物は試し」の軽い気持ちで申し込んだ。
新しいSIMカードは、注文からほどなくして自宅に届いた。MNP(他の携帯会社からの乗り替え)をするわけでもなく、機種変更でもなく、今まで使っていた端末を継続して利用するため、単純にSIMを差し替えれば使えるのかと思っていたが、差し込んでもモバイル通信のところに×マークがつき、モバイル通信はつながらなかった。
楽天モバイルのチャットサポートに問い合わせたところ、単にSIMカードを差し替えるだけでは使えず、以下の楽天のアプリでの動作が必要、ということだ。
『SIMの種類をSIMカードまたはeSIMに交換した後は、どうしたらいいですか』(楽天モバイルホームページより)
楽天モバイルにはたらい回しにされた思い出ばかりだったが、こちらのやり取りが問題解決につながったため、これは楽天モバイルのサポートの名誉のために伝えておく。
この対応をしたところ、今まで使えなかったデフォルトの電話アプリから発信ができるようになり(テストで時報が聞けたときは感動した)、またRakuten Linkの着信も、知人数人に協力してもらいかけてもらったが、すべて着信音が鳴りバイブ機能も復活した。苦節2カ月、ようやく解決したのだ。
自宅の電波調査では問題なし
あわせて、対策としてやってはみたものの、解決には至らなかったことも紹介したい。
・楽天モバイルに、自宅に電波調査に来てもらう
楽天モバイルの電波調査の申請を行い、自宅に調査に来てもらった。ただ、私の自宅は都内で楽天4G回線提供エリア内にあり、大きな建物の影になるなどの立地的な不具合も特になく、実際にRakuten Linkを使っていて、たまに途切れることはあれど、基本的には問題なく使えていた。そのため、正直今回の不具合とはあまり関係がないのでは、とは思ったものの、もう何が原因かわからない状況だったため測定してもらった。ただ、測定の結果は、やはり大きな問題はないとのことだった。
今、私から言える2つのこと
今回のケースは、あくまで私の場合だ。そのため、同じようなトラブルで悩む人がSIMカードを交換したところで、残念ながら解決しないかもしれない。ただ、SIMカードの交換は楽だし、タダでできる。サポートに問い合わせて半日程度の時間がつぶれ、何もわからなかったという、私が数回味わった徒労感より心理的負担ははるかに軽いので、あまり期待せず「物は試し」でやってみるのはいいかもしれない。
通信回線以外の端末やアプリに原因があることも疑っていたので、「端末の初期化(工場出荷状態に戻す)」も検討していたが、その後の復旧があまりに面倒でどうしてもやりたくなく、ずるずる過ごしていたが、初期化しなくて本当に良かった。初期化しても解決せず、初期化した端末を前に絶望していたことだろう。初期化を試すくらいなら、SIMカード交換を勧めたい。
また、SIMカードを交換しても解決しなかったという場合、それ以上の深追いをするのはあまり勧められない。たらい回しでへとへとになるだけだ。「安いから割り切る」か「我慢できないから他社へ」の二択の方がいいだろう。楽天モバイルが独占企業ならともかく、格安スマホは他にいくらでもある。私も、原稿を書くためにここまでやれただけであり、ブログや動画のネタになる、と思っている人以外には「問題解決のためにがんばる」はお勧めしない。
さらに、私がまさにそうだが、楽天市場を主力にポイ活(ポイント活動)をしている人にとっては、楽天モバイルの対応には不満だが、楽天モバイルだと楽天市場で買い物したときにポイントが+1倍になるし、というところで揺らいでいる人も多いかと思う。「楽天モバイルは嫌いでも楽天のことは嫌いにならないでください」作戦が奏功しているともいえる。
なお、今回の楽天モバイルの不具合やもろもろの対応は「インフラ企業としてあり得ない」という批判的な声が強いが、ちょっとその発想はなかった、という記事も見かけた。
『「楽天モバイルのiPhone着信問題」大手メディアがスルーし、楽天も謝らなかった”本当の理由”』(プレジデントオンライン)
完璧なサービスを完璧な形で、というのは製造業やおもてなしの文化が強い「かつての日本」的なものだ。一方、アプリの開発では「まずローンチし、走りながら整える」というスタイルが一般的ではある。「インフラでそれはないでしょ」の声の方が今は強いだろうが、めまぐるしいネット社会の雰囲気は案外数年でガラッと変わるものだ。
一方で、雰囲気が変わるためには楽天モバイルが一定の支持を得るほど他より秀でたところがないといけないが、競合のNTTドコモ、ソフトバンク、auも格安プランを出してきている。3年後、楽天モバイルはどうなっているのだろう。
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