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ゆで太郎、お得すぎる8枚綴り無料クーポン券の真相…「富士そば」より安く

文=佐藤勇馬、協力=重盛高雄/フードアナリスト
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「ゆで太郎」の無料クーポン券

 関東を中心に200店舗以上を構える立ち食いそばチェーン「粉から自家製麺 江戸切りそば ゆで太郎」。「名代 富士そば」と共に手軽に食べられる2大そばチェーンとして親しまれているが、店舗で配布される「無料クーポン券」を活用すると、ゆで太郎のお得度がかなり高くなるという声がある、専門家の分析や忖度なしレビューなどを通して検証した。

 特徴的な青い看板が目につく「ゆで太郎」は、信越食品が1994年に第1号店を開業。2004年にフランチャイズを目的としたゆで太郎システムが設立され、東京を中心に直営店を運営する信越食品と全国でフランチャイズ展開するゆで太郎システムの2社でグループが成り立っているのが大きな特徴だ。

 信越食品の店舗は昔ながらの立ち食いそば、ゆで太郎システムはゆっくり座って食べられる店舗が目立つなど、どちらの系列かによって店構えやメニューが少し異なるが、どちらも「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばを提供するというコンセプトは共通しており、手軽な値段で「町のそば専門店」の味を楽しめるとして支持を獲得した。

 そばチェーンとしては後発ながら急成長し、先行していた「富士そば」や「小諸そば」を店舗数で抜き去り、ゆで太郎システムだけで2019年末の売上高は約93億円に達した。同年に店舗数は計200店を突破し、現在は300店を目指しており、近年はもつ専門店「上州もつ次郎」を併設した店舗も増えている。

 ゆで太郎のメニュー価格は「かけ」「もり」が430円、「野菜かきあげそば」が550円(いずれも価格は税込み)といったようにリーズナブルなものが多いが、ゆで太郎ファンの間では、店舗で配布期間中に食事をした時にもらえる「無料クーポン券」を使うとお得度が大きく上がると指摘されている。

 「無料クーポン券」はさまざまなトッピングが無料になるもので、ゆで太郎システム系列の店舗で9月初旬に配布されたクーポンは「かきあげ無料券」(税込130円相当)、「コロッケ無料券」(税込100円相当)、「おろし無料券」(税込100円相当)、「納豆無料券」(税込100円相当)、「温泉玉子無料券」(税込100円相当)、「三陸わかめ無料券」(税込100円相当)、「カレールー無料券」(税込200円相当)、「そば大盛無料券」(税込100円相当)の8枚綴りとなっており、すべて使えば総額930円分が無料になる。信越食品グループの店舗で配布されたクーポン券は7枚綴りで若干内容が異なるが、無料になる総額は同じく930円分だ。

 なお、どちらの店舗で配布されたものでも全国共通で利用できる。配布される時期については、現時点では3月、6月、9月、12月の初めごろとなっているようで、配布期間はそれぞれ10日ほどとなっている。配布時期は変更される可能性もあるため、公式Facebookなどの告知をチェックするのが確実だ。

 こうした複数枚綴りのクーポン券は使い切る前に有効期限が終わってしまう場合が多いが、ゆで太郎は期限が3カ月もあるため、それなりに通っている人なら余裕で使い切れる。ゆで太郎システムの公式SNSアカウントでは、配布告知と共に「3ヶ月分溜め込んでください」などと案内されており、ヘビーユーザーは毎回クーポンを使うのがデフォルトになっているようだ。ちなみに、ゆで太郎のクーポンをめぐっては、SNS上では次のようにさまざまな声がみられる。

<一時期毎日かけそばに無料トッピングつけて食べてた>

<いまどき玉子無料とか太っ腹>

<海老天が消えて久しい>

(クーポンのカレールー券について)<かけに入れてみ?飛ぶぞ>

<余ってるカレールー券初めて使ったが今後また余らせそう>

クーポンを使ってのトッピングが標準仕様に

 ライバルの富士そばの価格を見ると、「かけ」「もり」は390円でゆで太郎より40円安く、かき揚げがのった「天ぷらそば」は540円でゆで太郎の「野菜かきあげそば」より10円安い。しかし、ゆで太郎で「かきあげ無料券」を使えば、「かけ」の430円で「野菜かきあげそば」と同等のものが食べられる。また、富士そばでは「コロッケそば」が540円だが、ゆで太郎で「コロッケ無料券」を使用すれば同じく430円で食べられる。

 富士そばは基本的に全店共通の無料クーポン券などがなく、クーポン利用が前提なら確かにゆで太郎はかなりお得に思えてくる。ゆで太郎の無料クーポン券について、フードアナリストの重盛高雄氏はこのように語る。

「クーポン券の配布期間が短いため、偶然というよりは狙っての来店がクーポンGETのポイントと想定されます。それゆえ、各店舗のファンが配布期間に合わせて来店するのでしょう。クーポンは有効期間が3カ月と他社のクーポンと比較して長く設定され、来店の動機付けに役立っていると感じます。セットメニューのそばは『かけそば』が基本のため、クーポンを使ってのトッピングがクーポン利用の標準仕様となりそうです」(重盛氏)

価格妥当性は感じられず

 無料クーポン券は来店の動機になるほどお得度があるようだが、飲食店のコストパフォーマンスは「味」も大きな要素となる。重盛氏に「忖度なし」の実食レビューをしてもらった。

「忙しいランチタイムの訪問だったためか、そばは他にない味わいを醸し出しているとまでは言えず、一般的な立ち食いそば並みのパフォーマンス。王道の『ミニかつ丼セット』(830円)を注文してみましたが、正直なところ価格妥当性は感じられません。そばは挽きたて・打ちたて・茹でたてを売りにするほどの味わいはなく、かつ丼も価格以上の感動はありませんでしたし、あまり食べ応えも感じませんでした。富士そばでかつ丼を食べた時も『カツを卵でとじさえすればよい』という雑な印象を受けたのですが、ゆで太郎も変わりない味わいでした」(同)

 プロの目から見て、ゆで太郎は業界でどのような位置づけに映るのだろうか。

「ゆで太郎もライバルの富士そばも手軽に食べられる立ち食いそばの大手チェーンという部分は共通していますが、ゆで太郎が『町のそば専門店』を標ぼうするのであれば、おのずからこだわるべき部分は異なってくるのではないでしょうか。フランチャイズ本部の思惑よりも、客がどのように同チェーンを意識しているかに思いを寄せるべきで、『安い』よりも『満足』を重視した商品戦略が求められるのではないかと思います」(同)

 プロの視点からだと課題点もあるようだが、1枚で総額900円以上という破格の無料クーポン券のお得度が高いことは間違いなく、利用者はぜひ活用すべきだろう。

(文=佐藤勇馬、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

重盛高雄/フードアナリスト

重盛高雄/フードアナリスト

ファストフード、外食産業に詳しいフードアナリストとしてニュース番組、雑誌等に出演多数。2017年はThe Economist誌(英国)に日本のファストフードに詳しいフードアナリストとしてインタビューを受ける。他にもBSスカパー「モノクラーベ」にて王将対決、牛丼チェーン対決にご意見番として出演。最近はファストフードを中心にwebニュース媒体において経営・ビジネスの観点からコラムの執筆を行っている。
フードアナリスト・プロモーション株式会社 重盛高雄プロフィール

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