ソニーやビクターといえば世界的なビデオカメラメーカーであり、この追撃をGoProはどう見ているのか? 「HERO」の最新バージョンである「HERO 3+」では、その標準付属の防水ケースの防水レベルが下げられ、より扱いやすくなり、ボディもスリムになった。これは扱いやすいソニーのアクションカムに対抗してのことではないかと考えられる。意識しているのは間違いないだろう。しかし、まだこの分野での「HERO」の人気は圧倒的だ。
そんなスポーツ向けのビデオカメラの数々に対して、最近、キヤノンが革新的なコンパクトビデオカメラを発売した。それが「iVIS mini」だ。このビデオカメラのコンセプトは「自分撮り」だ。他社のアクションカムと異なる点は、ビデオプレイヤーのような液晶ディスプレイを搭載していることだ。据え置くタイプのカメラで、自分をディスプレイに映しながら撮影できるので、ダンスなどの動画を撮って動きを確認したり、ブログにアップしたりすることも可能だ。液晶の向きによって、自分以外を撮影することもできる。
最近は、YouTubeなどで自分撮りビデオカルチャーともいえるものが世界的に生まれているので、このようなビデオは重宝されるだろう。
「HERO」「AS30V」「iVIS mini」などは、従来とは異なるジャンルのビデオカメラ時代の到来を感じさせる。これらは、「ウェアラブルビデオカメラ」ともいえる身に着けて周囲を撮影するタイプや、逆にビデオを据え置いて自分を撮影したりするといった新しいコンセプトが強く主張されている。
アメリカ人やヨーロッパ人には、「このクールな俺を見ろ」とばかりの強い自己主張メンタリティがあるようで、そのような文化の中では自分のアクションを撮影するビデオカメラが受け入れられる土壌があるといえるが、日本ではクールなアクションを決めたところを撮影したいというスポーツ市場よりは、日本特有のオタク文化の中でブレークしそうな予感がする。
(文=一条真人)